お金のおはなし~お金の強化書~

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【株式】自社株買いって何?

 

自社株買いとは

 

buyback

 

英語でbuyback、買い戻し、企業が自社の株式を時価で市場から買い付けることを自社株買いといいます。

 

なぜ、資金を集めるために株式を発行しているのに、自社で自社の株を買うの?確かに不思議です。

 

企業は手元資金を利益を稼ぐために有効に使わなくてはいけません。企業は株主のものだからです。

 

資金を設備投資などに使わず、資金を手元に置いておいても利益は生みません。

 

株主としては、お金を遊ばせておかれても困りますよね。そこで企業は、設備投資などに回すタイミングではないと判断した場合、余剰資金の一部を、株主に配当金や自社株買いといった形で還元します。

 

自社株買いをする企業の多くは成長期→安定期に移行した企業です。

 

成長過程の企業は自社の成長のために設備投資などに手元資金を活用します。成長過程の企業は、おカネが必要です。 

 

せっかく稼いだ利益(おカネ)を、株主に還元するよりも自社の成長にあてたほうがいいですよね。

 

事業規模を大きくする、企業を成長させるためには当たり前の発想ですね。

 

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自社株買いは公表される

 

上場企業が自社株買いする時は必ず公表します。多くの場合が、⭕️⭕️月⭕️⭕️日〜まで、⭕️⭕️億円または⭕️⭕️株数を上限に買い付けます。立会外取引で自社株を買い戻す場合もあります。

 

自社株買いをすることにより、自社の株価を上げるもしくは保つことができます。

市場で買い付ける場合、、⭕️⭕️月⭕️⭕️日〜まで、⭕️⭕️億円または⭕️⭕️株数の買い圧力になるのです。株価を支えてくれるんですね。

 

自社株買いが完了した場合も、公表されるんです。

 

自社株買いの効果は?

 

自社株買いをした場合、買い付けた自社株のその後は、消却か金庫株として資本政策に自社が保有する場合があります。

 

自社株消却

  

まず、消却した場合についてです。

 

字の通り、株式を消却してしまうのです。発行済み株式数が減ると言うことです。

 

株式の消却とは簡単に言うと発行済株式数を減らすことです。発行済株式数が減ると何が起こるかと言うと!!

 

まず、一株当たり純利益(EPS)、一株当たり純資産(BPS)が増えます。

 

一株当たり純利益(EPS)=純利益÷発行済み株式数

 

一株当たり純資産(BPS)=純資産÷発行済み株式数

 

株式投資の指標となる株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)は以下の通りです。

 

PER=株価÷EPS

PBR=株価÷BPS

 

 自社株を消却した場合の例 PER PBR

 

例】発行済み株式数100株、株価500円、EPS20円、BPS400円があったとします。

 

自社株買いをする前は

PER=500÷20=25倍

PBR=500÷400=1.25倍

 

発行済み株式数の10%、10株の自社株買いをしたとします。

 

EPS=2000(純利益 20円×100株)÷90≒22.2円

BPS=40000(純資産 400円×100株)÷90≒444.4円

になりますので、

 

PER=500÷22.2=22.5倍

PBR=500÷444.4=1.13倍

 

自社株買いの前後を比較すると、

PERは25倍→22.5倍

PBRは1.25倍→1.13倍

 

PER,PBRは低い方が割安となりますので、自社株を消却することにより、株価は割安になります。

 

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自社株を消却した場合の例 ROE

 

また、自己資本利益率ROEも押し上げます。ROEは海外投資家が注目している指標です。

 

自己資本利益率ROE=純利益÷自己資本

 

なぜ、海外投資家がROEに注目するかと言うと、資本をきちんと使った経営ができているかを図るためです。

 

持ってる資本を有効活用できていますか!?っていう指標です。

 

自社株を消却すると、自己資本が減ります。

 

上の例を使ってみましょう。ここでは、ストックオプションなどは考えずに、

自己資本=純資産で考えてみます。

 

自社株買い前のROEは 

2000円(純利益)÷40000円(自己資本)=5%

 

自社株消却により、自己資本が40000円→36000円になったら

2000円(純利益)÷36000円(消却後自己資本)=5.5%

 

ROEが5%→5.5%に向上します。

 

割安になり、資本効率が向上した株価は、市場が放っておかないので、株価上昇を期待できます。

 

 

自社株を金庫株にした場合

金庫株として保管していた株式については、ストックオプションとして活用されることもあります。

 

ストックオプションとは、会社が前もって決めた価格で、企業の経営層や従業員が自社株を変える権利を与えることです。

 

仮に、元々の株価が1株1000円だとして、ストックオプションで100株買える権利を得たとしましょう。

 

その後、株価が上昇し、1株2000円まで上昇したとき、ストックオプションの権利を行使し、1株1000円で100株買えば、10万円の利益を得ることができます。

 

企業の経営層・従業員にストックオプションを認めると、自社の株の価値を高めようと意欲も湧きますね。

 

金庫株の怖い点

 

自社株買いをし、消却しせずに、金庫株として保管していた場合、怖いのが、

”株式売り出し”です。自社で保管していた株を、資金調達のために再度、市場に売り出すのです。

 

この自社株を、市場に売り出したらどうなりますか?

 

投資家は、金庫株を控除したPER、PBR、ROEなどを指標に投資します。

自社株が市場に出回ると、PER、PBRが高まり、ROEも下がります。また、売り出しですので、売り圧力が株価の上昇を妨げます。

 

実際に自社株の売り出しは資金を集めるために起こり得る事象です。

 

 

2020年3月

 

コロナショックで株価が大きく調整した2020年3月、多くの企業が自社株買いをしてい

ます。富士フイルム、東京製鉄、三井不動産大和ハウス工業三井物産・・・株価を下支えしようとしています。また、自社の株価が割安とも判断しての自社株買いだと思います。

 

ソフトバンクGは5000億円の自社株買いを発表しました。5000憶はかなりのインパクトです。現在、ソフトバンクGの時価総額は、5兆円程度ですから、インパクトとしては大きいです。

 

しかし、市場は評価していません。借入が多い企業ですので、自社株買いによる財務悪化、信用リスクの増大が懸念されています。格付機関も、ネガティブにとらえています。

 

自社株買い・増配に積極的な安定成長に移行した企業は市場から評価されます。

米国企業も積極的にやっています。

 

追記2020年4月

コロナ危機の経済へのダメージは相当なものです。1929年の世界大恐慌の再来とも言われており、リーマンショック以上のダメージになりそうです。

落ち着くまでは、手元に現金を置いておく必要があるため、自社株買いは本当に体力のある企業に限られてくると思います。

コロナショックを機に、世界の企業が現金を貯め込むようになるのか注視したいです。

日本企業が現金を貯め込んでいるのは、バブルの後遺症とも言われていますので。

 

一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

 

Arbei

 

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