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FRB緊急利下げ 量的緩和とは?

 

2020年3月15日、FRBアメリカの中央銀行1%の緊急利下げをしました。主要政策金利を0〜0.25%にします。


米国にとって、リーマンショック以来のゼロ金利政策です。

 

併せて、量的緩和の再開も発表し、今後数ヶ月で7000億ドル米国債モーゲージ債券などを購入し、金利が上がらないようにしました。

 

できることは何でもやろうというFRBの姿勢が見えます、同時に焦りも感じます。

 

コロナウィルスによる経済活動の停滞が、実体経済にどの程度影響を与えるのかが計り知れないというのが本音ではないでしょうか。

 

日本時間の6時ごろにFRB緊急利下げ、量的緩和の再開のニュースが飛び込んできて、今日のマーケットはいける!と思いました。

 

しかし、日本市場が開く前にNYダウ先物(S&P500先物NASDAQ先物も)が5%以上の急落、取引停止になりました。

 

市場は今週の利下げは織り込み済みであり、量的緩和も織り込んでいたということですね。

 

市場は企業が発行するコマーシャルペーパー(CP、企業が短期資金の調達を目的に、市場で割引形式で発行する無担保の約束手形のことをいいます。CPの償還期間は通常1年未満で、特に1カ月ものや3カ月ものが多い)の買取りまで期待していたのかなと思いました。

 

【追記】3月17日に、FRBは企業の発行するCPを買い取ると発表しました。流動性不安を発生させてはいけない、発生させないという強いメッセージです。

 

米国市場はFRBのCP買取を好感し、1000ドル超の上昇です。

 

実体経済の悪化による株安と、今回は特に心理面の悪化が短期間での急落に拍車をかけたマーケットです。

 

 

金利引き下げとは

日本では金利調整による金融政策が機能していない状態が続いています。

 

1996年以降、2006年~2008年以外はほぼゼロ金利を継続しています。現在はマイナス金利になっており、本日の日銀金融政策決定会合ではマイナス金利の深掘りはしないとの政策が出ました。

 

日銀はETFの買付けを年間12兆円に倍増しました。REITの買い付けも年1800憶円に倍増しました。中央銀行が大株主の企業だらけですね、日本は。

 

出口戦略について考えているのでしょうか。出口戦略となると日銀からの売り圧力で市場は混乱するでしょう、でもまだまだ先の話ですね。

では、金利を引き下げるとどのような効果があるのでしょう。

 

中央銀行政策金利を引き下げることにより、市中の貸出金利が下がります。

 

貸出金利が下がれば、資金需要が生まれやすくなる、借りやすくなる、金利負担が少なくなるなどの効果が期待できます。

 

景気が減速または後退しそうになった場合、中央銀行は利下げをします。金利を引き下げることによって、資金需要に応えられやすくします。

 

逆に景気が良く、このままだとインフレなどの懸念が出ると、中央銀行は利上げをします。金利を上げれば、資金調達コストも上昇しますので、資金需要が減退します。

 

例えば、不動産が分かりやすいかもしれません。不動産は多くの場合、金融機関から資金を調達して購入します。

 

余計なコストなどは一切考えずに、不動産の利回りと金利の関係だけで考えると、不動産(賃料)利回り7%、調達金利1%の場合、手取り6%になります。不動産(賃料)利回り7%、調達金利3%になると手取りは4%になり、不動産投資の魅力は下がります。

 

手取り(実質利回り)が下がれば、不動産の魅力は下がり、不動産の価格が上がりづらくなりますよね。

 

2008年以降、日本は既に金利がゼロだったので、日銀は2016年にマイナス金利を導入しました。

 

マイナス金利導入の効果はどうなのか疑問はありますが、中央銀行として景気を下支えしようという姿勢です。

 

現場感覚でいうと、大企業は手元資金が潤沢で間接金融(銀行融資)を必要としていなく、中小企業は厳しいところは資金需要はあるが、銀行審査は以前と変わらずリスクを獲らないという感じでした。

 

マイナス金利は銀行経営を逼迫させるという負の側面もあります。日本の銀行、特に海外で稼げない多くの地方銀行はマイナス金利導入後、非常に厳しい環境にあります。

 

地方銀行は多すぎるので、これから経営統合、合併などをすすめ、規模の拡大をしないと生き残れない時代がやってくる、いや、既にやってきていているのでしょうね。

 

常のFRBの利下げや利上げは0.25%ずつです。マーケットの反応、実体経済への影響などを鑑みながら金融政策を実施します。

 

今回の1%緊急利下げ、しかもつい先日0.5%の利下げをやってますので、いかにFRBが危機感を持っているかが伝わってきます。同時に、景気後退が現実的なものではないかとも思えます。

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量的緩和とは

量的緩和政策は金融政策である金利の上げ下げによる景気の調整ではなく、一番の目的は流動性の確保です。

 

中央銀行は市中に出回る資金を増やすために、中央銀行当座預金残高まで国債などを買います

 

企業の資金繰りを行き詰まらせないようにするとともに、流動性不安(通常だったら売ったり買ったりできるものができなくなる可能性)を抑えるためです。

 

まさに今も起きています、”Cash is king" 現金に有価証券・金・不動産・贅沢品を現金に換金する動きが出てきています。

 

リーマンショック~景気回復までFRB量的緩和政策を続けていました。英語で量的緩和を”Quantitative easing” QEといいます。過去の量的緩和は、

QE1 2008年11月~2010年6月 1兆7250億円の買いオペ

QE2 2010年11月~2011年6月 6000憶ドルの買いオペ

QE3 2012年9月~2014年10月 住宅ローン担保証券MBS)を追加で買いオペ額400憶ドル/月→850憶ドル/月。雇用が改善するまで。

 

その後の米国経済の回復を振り返ると量的緩和は一定の効果が期待できます。

 

流動性を確保するとともに、株式・不動産などの資産価格の維持・上昇、雇用改善、消費拡大などが量的緩和には期待できます。

 

コロナショックで全世界のマーケットが混乱している中、流動性の確保は非常に重要です。世界で一番安全な資産と言われている米国債ですら、売買成立に苦労している状況にあるといいます。 

 

2020年3月、コロナショックによるマーケットの大幅下落、実体経済の景気後退懸念より、大手格付機関のムーディーズは、悲観的シナリオに基づくと、低格付け社債のデフォルト率が今年9.7%と過去平均の4.1%から大幅に上振れしかねないとの見方を示しています。

 

リーマンショック時にデフォルト率は13.4%まで跳ね上がりました。低格付け債とは信用力が低いため、高い金利で発行されている債券で、ハイイールド債やジャンク債などと言われています。財務内容が優良な企業に比べ、財務が脆弱なため、景気悪化や金融危機時にはデフォルトが発生する可能性が高くなる傾向にあります。

 

 

今後は

実体経済の状態によっては、量的緩和の第二弾、第三弾が出てくる可能性があります。

 

むしろ、本日のFRB緊急利下げ1%+量的緩和再開でも、市場は反応しなかった(2020年3月16日時点で)ことを見ると更なる量的緩和は十二分にあり得ると思います。米国もマイナス金利を導入する可能性もあるかと思います。

 

まずは、コロナウィルスによる経済活動の停滞がどの程度なのか、いつまで続くのかを見極めなくてはいけません。

 

本日、百貨店大手の高島屋が2月の営業報告を発表しました。下記の通りで、前年同月比10%以上の減収です。

 

3月は外出が控えられ、インバウンド需要も減退しているので更なる悪化の可能性もあります。実体経済に影響が出ています。

 

これは、日本企業に限ったことではないです。米国の大手航空機メーカーボーイングも資金が逼迫しているとのニュースもでています。

 

まずは、コロナウィルスが収束すること、収束しつつあることが混乱したマーケットを落ち着かせるためには不可欠かもしれません。

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高島屋2020年度2月営業報告

 

Arbei

 

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