投資信託とETFの比較 ハイイールド債券
海外株式の投資信託とETF比較に続いて、ハイイールド債券の投資信託とETFを比較したいと思います。
比較 ハイイールド債券編
ハイイールド債券ファンドの中で、資産残高が一番大きいフィデリティUSハイイールド債券Fとブラックロック社の海外ETFのHYG(iシェアーズ iBoxx 米ドル建 ハイイールド社債ETF)を比較したいと思います。
いずれも米国のハイイールド債券で運用されてます。ハイイールド債券とは、格付がBB格以下の債券です。投資適格債はBBB格以上の債券です。
ハイイールド債券は、一般的に、投資適格債に比べて発行体の信用リスクが高いため、利回りも高いです。ジャンク債とも言われています。
信用リスクが高いということは、財務が脆弱で、デフォルトのリスクが投資適格債に比べて高いです。
景気が悪くなるとハイイールド債の価格は下がり、利回りは上がります。逆に、景気が良くなるとハイイールド債の価格は上がり、利回りは下がります。
身近な企業でもハイイールド債を発行している企業もあります。
デルモンテ・ドール・テスラ・ネットフリックスなどの企業です。エネルギー関連の銘柄が多いのも特徴です。
成長期で財務が安定していない企業であったり、財務が悪くなった企業が発行している債券です。
フィデリティUSハイイールド債券F
直近5年間の推移
出展元:フィデリティ投信HP
投資先比率
出展元:フィデリティ投信HP
セクター別だと、エネルギー関連が15%と比率が一番大きいです。
ハイイールド債券ファンドの特徴として、組入れ銘柄を細かく分散することにあります。
デフォルトリスクを分散させる必要があるからです。
HYG
直近5年間の推移
出展元:ブラックロック社HP
出展元:ブラックロック社HP
投資先比率
出展元:ブラックロック社HP
出展元:ブラックロック社HP
HYGは通信セクターの比率が一番高く、エネルギーセクターは8%程度です。
フィデリティUSハイイールド債券F VS HYG
①運用実績
2020年2月のコロナ危機以降のハイイールド債券の下落は株式まではいきませんが、すごいです。
債券ですが、景気悪化懸念が高まると下落しますので、投資適格債とは全く違う値動きをします。
5年間のトータル運用実績は、
フィデリティUSハイイールド債券▼3.49%、HYG△0.94%
ハイイールド債券にとっては厳しい環境でした。直近の景気悪化、米国金利上昇、資源価格安などハイイールド債券には向かい風の局面が多かったです。
現在のポートフォリオの中心はBB格、B格です。景気悪化に伴い、格下げ方向でしょうし、原油価格の下落がエネルギー関連企業へ与えるダメージは深刻です。
②運用コスト
まずは、購入手数料についてです。
フィデリティUSハイイールド債券Fはノーロードで購入できます。
VPUは大手ネット証券で片道0.495%、往復で約1%の手数料がかかります。
(購入金額により手数料は逓減されます。)
次に信託報酬です。信託報酬とは運用会社・販売会社・受託会社に支払う手数料です。保有期間中にかかる運用関係費用です。
フィデリティUSハイイールド債券1.74%/年 VPU0.40%/年
5年間保有した場合の運用コストは価格が変動しなかったとすると、
フィデリティUSハイイールド債券8.70% VPU2.99% になります。
両商品を比べると、”運用実績の差≒運用コストの差”になっています。
投資信託の場合、組入銘柄の売買手数料や法定資料の作成費用などもその他コストとしてかかってきます。
ファンドマネージャーというプロに運用をしてもらうには費用が掛かるのですね。
実績が伴ってくれれば、いいのですが。
③結果
運用実績に大きな差はありませんでしたが、運用コストの差≒運用実績の差であることは興味深かったです。
HYGは、米ドル建てハイイールド社債で構成される指数(iBoxx リキッド・ハイイールド社債・インデックス)に連動するインデックス投資です。
フィデリティUSハイイールド債券Fもハイイールド債券ファンドとしては決して運用実績は悪くありません。何も理解していない投資家から資金を集め、純資産を増やすために、分配金を出しすぎた感があります。
アクティブファンドはインデックスファンドよりコストが高く、高いコストに見合ったリターンが本来は期待されるのですが、世の中の投信のうち約8割はインデックス投資以下のリターンです。
一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。
投資は自己判断で
Arbei