2021年以降の米国株式市場〜コロナショック後〜
米国市場の未来
2025年〜2027年に米国株は2020年の高値を更新すると見ています。
ITバブル崩壊・同時多発テロ〜リーマンショック後に米国市場の主役は変わりました。
2020年4月現在と同じように5年後も、マイクロソフト、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンは株式市場の主役だと思います。
これらの企業は、生活基盤を構築することができる企業だからです。
5年後、10年後の市場には新たな主役が加わっているはずです。どのような企業が主役に加わるのでしょうか。市場の主役になるための要素は、少なくとも以下のものが必要です。
M&A
今日の米国市場の中心となっている企業は、M&Aに積極的です。一から事業を創り出すのではなく、創り出された事業を買収してグループとして大きくなっています。
アルファベットもグーグルからスタートし、YouTubeを買収したり、様々な事業を買収しています。
買収後も、グループでシナジーを発揮し、更に事業を大きくし、かつ多角化経営をしています。
アマゾンも、ネット小売業だけでなく、ホールフーズを買収し、実際の小売りにも参入しています。
闇雲にM&Aをすればいいわけではありません。
"結果にコミット"のRIZAPは、シナジー効果が少ない企業を相次いで買収しました。しかし、稼ぐ力になる買収先は少なく、負の遺産を多く作り、M&Aした企業の売却を進めています。
M&Aする余力があり、買収先と相乗シナジーを発揮できる企業は市場の主役になる可能性があります。
イノベーション
生活・世界を革新的に変えることができる企業です。
20年前に自宅からパソコンで買い物をする人は僅かだったと思いますが、今日は当たり前になっています。
アップルのiPhone発売により、小さなパソコンを誰もが持ち運ぶことができるようになりました。
ソニーはウォークマンを開発し、音楽を持ち運べるようにしました。
ユニクロはファッションを誰でも手軽にできるものにしました。服屋でカゴを使って買い物をした記憶は、ユニクロが初めてだったと思います。
いずれも生活の一部を変え、生活を便利で豊かなものにしてくれました。
余談ですが、自動車もイノベーションを繰り返しながら、進化していますが、ワイパーだけはほとんど進化してませんよね?
ワイパーに代わるものが生まれれば、雨の日の運転が変わりますね。
ITとの融合
今日のコロナウィルス蔓延でIT無しでは生活ができないと感じたのでは無いでしょうか。
オフィスにも自動車にも小学校の授業にも、ありとあらゆる所にITは登場し、私達の生活を便利にしてくれています。ITとの融合が企業成長のキーになるはずです。
ITは物理的な距離をなくしてくれます。世界中、どことでも繋がることができ、誰にでもサービスを提供できるようになります。
経営力
経営者の能力、意思決定者の能力が高いことが次代の主役になるためには不可欠です。
意思決定者の判断が緩慢であったり、スピード感がないものだと、企業の成長は鈍化します。
市場の主役になる企業の経営陣は、スピード感があり、かつその意思決定が正確であることが必要です。
誤った意思決定をしたとしても、迅速に対処し、被害を最小限に抑えることが重要です。
正解を選び続けることは難しいので、失敗を最小限に抑えることができるかが、優れた経営者か否かの分かれ目です。または、失敗を成功に変えることができる力です。
株価とGDPの関係
1980年以降の米国株式市場で大きく調整した局面は、1987年のブラックマンデー、2000年2001年のITバブル崩壊と同時多発テロ、2007年2008年のサブプライムローン問題とリーマンショック(世界金融危機)、そして2020年のコロナショックです。
現在に近くなるほど、アルゴリズム取引が増え、市場のスピードは早くなっています。
コロナショックにより、2020年のアメリカ経済は▲5.9%、日本経済は▲5.2%のマイナス成長になるとの見通しが2020年4月にIMFより出ています。
コロナウィルス終息が遅れ、経済活動の再開が先延ばしになれば、更に悪化する可能性も十分にあります。
上記グラフはS&P500、アメリカの名目GDP、実質GDPの1985年からの推移です。GDP成長率よりも株価上昇率の方が圧倒的に高いことが分かります。
出展:IMF・世界銀行・yahoo finance資料をもとにArbei作成 1985=100
【折れ線グラフ】S&P500・SP500/一人当たり名目GDP 左軸
【棒グラフ】一人当たり名目GDP 右軸
S&P500、一人当たり名目GDP,S&P500を一人当たり名目GDPで割った数値を1985=100とした推移です。
株価とGDPの相関性が高いとは言えませんが、一人当たり名目GDPは着実に増え、株価も上昇しています。
ITバブル時に、S&P500/一人当たり名目GDPが大きく上昇し、株価調整局面を迎えました。
一人当たり名目GDPに対して、株価が大幅に上昇すると、株価が調整する可能性が高いです。
一人当たり名目GDPが伸びれば、株価は上昇するとも言えます。
また、IT革命以降の生産性向上により、S&P500/一人当たり名目GDPは逓増傾向にあります。2000年~2019年まで年平均1.65%で逓増しています。
楽観的な未来予想
2019年までデータをもとにArbei作成
人口増加率年率0.6%、2020年の名目GDP成長率▲5.9%(IMF予測)、2021年以降の名目GDP成長率年率2.0%、2020年末のS&P500終値2792.69(コロナショック半値戻し水準)、S&P500/一人当たり名目GDPの逓増率1.65%/年と仮定し、上記グラフを作成しました。株価の波は考慮してませんし、現時点ではできません。
アメリカの人口増加率0.6%/年程度であり、名目GDP成長率は潜在成長率である2.0%/年と想定し、S&P500指数の2020年終値は楽観的に現時点での半値戻し水準にしました。
楽観的な見通しだと、2025年に2020年の高値3393.52にタッチし、全値戻しします。
過去の大きな調整局面を参考にすると、2025年〜2027年に全値戻しするのではないかと希望的観測ですが、期待します。
↓こちら↓もご覧いただければと思います。
全値戻しした後は、暫く強い相場が続き、また大きな調整を迎えるのではないでしょうか。
コロナショックをきっかけに生活が変わり、その生活を便利にするためのサービスが生まれるはずです。イノベーションです。
株価(S&P500指数)とGDP(一人当たり名目GDP)には長期的な相関はあると考えます。
企業業績が拡大=株価上昇・賃金上昇・消費拡大・雇用創出・・・=GDP成長
2020年はマイナス成長になる可能性が高く、コロナウィルスの蔓延状況によっては2021年以降も経済成長は鈍化する可能性もあります。
アメリカはGDPの7割が個人消費と言われています。人口も日本とは違い、増えています。
日本も生産労働人口を増やすために専業主婦が減り、女性が社会に進出し、生産労働人口を維持しようとしています。
しかし、消費は生産労働人口層だけではないので、人口が減る国は消費が増えにくいです。少子高齢化に対応できる社会を作らなくてはなりません。
現役世代に負担を掛けるだけでは限界がきます。移民の受け入れ、外国人労働者の働きやすい社会づくり、出生率、婚姻率の改善策などを国として変えていかなくては、国が衰退します。
一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。
投資は自己責任で
Arbei