日経平均株価は38,915円を超えるのか
バブル崩壊後の日経平均株価最安値は6,994円です。2008年10月、リーマンショック時につけました。それまでの最安値は、2002年4月の7,603円でした。
1989年の大納会につけた38,915円(38,957円)が過去最高値です。もう30年以上前のことです。
日経平均株価 出展:investing.comより
半値戻し
半値戻しは全値戻しという相場の格言を信じた場合はどうなるでしょうか。
1989年12月の高値~2008年10月の安値を付けるまで、18年10ヵ月要しています。
この18年10ヵ月の間にも上昇局面もありましたが、結果としてはバブル崩壊後の安値を探り続けていました。
半値戻しの水準は、23,259円です。
半値戻しの23,259円をつけたのが、2018年1月4日です。38,915円をつけてから、実に28年後です。
バブル崩壊から、底値をつけるまで18年10ケ月、底値から半値戻しまで9年3ケ月でした。
2/3戻し
半値戻しの次は2/3戻し水準が意識されます。28,275円が2/3戻し水準で、いまだに2/3戻しは達成されていません。
バブル期
バブル絶頂期の日経平均株価のPER61.7倍、PBR5.5倍は確かに買われすぎていました。
日経平均株価のPERは14〜18倍で推移することが近年は多いです。バブル期は60年分以上の利益が株価に織り込まれていたわけです。
1989年にPER14倍だったら8,800円前後ですので、38,915円がいかに異常な上昇であったかが分かります。
PER60倍を超えていたのは、やはりバブルとしか言えないです。
しかし、当時はPERが60倍を超えていたことに、国内投資家は疑問を感じる投資家は少なかったです。PER60倍超は増収増益20%以上が当面の間続く成長企業の株価水準です。
外国人投資家はバブル崩壊以前から日本株を売り越していました。
バブル崩壊により、日本の金融システムは破綻しました。
証券会社による利益供与も明るみになりました。
膿みを出し尽くし、スクラップアンドビルド(scrap & build)が行われました。
消費税も1997年に3%→5%に増税され、景気悪化に拍車をかけました。
リーマンショックは世界的な金融システム不安でしたが、日本のバブル崩壊は日本の金融システム崩壊でした。
38,915円を超えることはあるのか
結論として、”いずれ38,915円を超える、ただし時期は不明”です。
新興国経済のバブル崩壊、資源価格のバブル崩壊などは近年もありますが、経済規模の大きい日本のような巨大なバブルが崩壊した国は近年見当たりません。日本が初の事例になります。
1990年代は日本は世界第2位の経済規模でした。現在も世界第3位ですので、国全体としてもう少し自信を持ってもいいのかと思うのですが、将来への悲観が強いために、淀んで見えてしまうのかもしれません。
経済大国でバブル崩壊した国の株価が戻るのか、壮大な実験場に日本市場はなっているのです。
危機がきっかけで社会が変わる可能性もあります。バブル景気もプラザ合意をきっかけとした円高不況を乗り越えるために、内需拡大を謡い、所得税減税などが資産価格上昇を後押ししました。
参考になる過去の事例がないですが、生産性向上、製造業以外の主役の登場、信頼できる政治などが重なれば、38,915円を超える日もくると思います。
日本市場は、底値まで約19年かかりました。底値からすでに12年経過しようとしています。
アフターコロナ
今日のコロナウィルス蔓延による世界経済の停滞は、日本経済にも直撃しています。
各国の中央銀行は利下げ、量的緩和などの積極的な財政出動をしています。実体経済への影響がどの程度あるのか注視する必要があります。
雇用が失われていることが最大の危機と感じています。
コロナショック以前は米国失業率は3.5%前後でした。
2020年5月8日に米国雇用統計が発表されますが、非農業部門雇用者数▲2,200万人、失業率16.3%の市場予想です。毎月発表される統計であり、非常に重要な指標です。消費が経済の土台だからです。
”雇用が失われる=収入がない=消費にお金が回らない”です。
モノ・サービスへの需要(消費)があるから、供給(生産)が生まれるからです。
良いモノ・サービスの供給(生産)があるから、需要(消費)が生まれるからです。
財政出動により、危機の第一波を乗り越えようとしています。10万円給付もその一部の施策です。
しかし、雇用創出・雇用回復が無い限り、危機を乗り換えたとは言えません。
日本は諸外国に比べて、失業率が低いです。失業率が低いのは、生産労働人口が減少していることも要因です。コロナショックが、生産性を見直す機会になるかもしれません。
”失業率が低く、生産性が低い=余計な人員を雇用している”です。
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