二番底はないのか~コロナバブル~
はじめに
筆者は2020年3月末の段階で株式市場の二番底はあると記事にしています。
2020年3月末〜株式市場は強く、半値戻しも達成しました。このまま、上昇が続くのではないかと思わせる強さです。
実体経済と株式市場の乖離が広がるばかりです。
なぜ、株式市場は強いのでしょうか。
答えは二つです。各国の金融緩和、財政出動によるカネあまりと楽観論です。
金融緩和により、行き場のないマネーが株式市場に流れ込んでいます。
また、コロナウィルスの影響の収束が早いだろうという楽観論です。
結論から申し上げると、今は弱気相場の反発に過ぎないのではないかとことです。
二番底の深さは、過剰流動性による資産バブルの大きさによって変わってくるでしょう。
二番底の可能性を考えながら運用する必要もあるのではないでしょうか。
金融緩和・財政出動
各国も金融緩和・財政出動による経済の下支えに懸命です。市場にはマネーが大量に供給されています。
リーマンショック時は、金融システムの崩壊・信用収縮から実体経済へ波及しました。
今回のコロナショックは、実体経済の悪化から金融システムへの波及を抑えるために、先手で金融システムの維持、金融機関の信用収縮が起きないようにしました。
リーマンショック時とは景気後退への流れが逆です。
FRB、ECB、日銀、その他新興国中央銀行含め、金融緩和によって景気底割れを何とか防ごうとしています。
米国ゼロ金利政策導入、機軸通貨であるドルへ各国中央銀行が協調で供給オペ、国民に給付金、国債の実質的な中央銀行による購入による流動性確保など、リーマンショック時の反省を活かし、当時と比べて対応が早いです。
世界一の経済大国アメリカも、FRBによる国債買い取り(ヘリコプターマネー)、短期社債買い取り、ハイイールド債の買い取りなど、信用収縮が起きないように、カネをばら撒いています。
FRBがハイイールド債まで買うことに驚いていますが、原油安によるシェール関連の経営状況は深刻なので、原油安による企業倒産連鎖を防ぐ狙いもあります。
何よりも信用収縮を防ごうとする施策です。
出典:investing.com NYダウ平均株価
日銀は、株式の買付を続けていますが、株式の買付をしている先進国中央銀行は日銀のみです。
しかも、それは今に始まったことではなく、コロナショック以前から中央銀行が株を買い支えています。
買付可能額を増額し、市場安定をさせる社会主義国の官制相場が更に拡大しています。
業績予想開示
株価=EPS(一株当たり利益)×PER
株価=BPS(一株当たり純資産)×PBR
業績予想に対して、実際の数字が上回るか、下回るか、進捗率はどうかによって株式は売買されます。
現在は、多くの企業が今期の業績予想を出すことが出来ない状況です。
つまり、予想EPSが分からない企業の株が売買されているのです。
もちろん、株価はPER、EPSだけで決まるものではありませんが、利益見通しを立てることが出来ない株価は何を基準に売買されているのでしょうか。
2020年はダメだけど、2021年はV字回復すると思わない限り、今の実体経済と株価の乖離は説明できません。
もしくは、4-6月期は壊滅的だけど、7-9月期から回復するとの期待が大きすぎるのです。
つまり、楽観論が2020年3月に一番底を付けてからの市場の動きです。
今回のコロナショックは特別で二番底はない、年末にも高値を更新するなどという専門家もいますが、筆者は懐疑的に受けとらえています。
なぜなら、実体経済が悪いからです。金融緩和により、企業の流動性は確保できましたが、流動性の確保は第一の危機を避けたにすぎません。
日本経済も、緊急事態宣言は解除されましたが、企業活動が危機前の水準に戻っていると感じる方はいないのではないでしょうか。
6月、7月から急激に人々の活動が戻ると思いますか。
例えば、インバウンド効果が日本経済を下支えしていました。
昨年は2700万人の訪日客がいましたが、今はどうでしょうか。1万人にもいかず、4月の訪日客は2700人です、99%減です。消費が消滅してるのです。
満員電車に最近乗ってますか。
テレワークが働き方の一つに定着するでしょうが、家では消費活動は限定的です。
消費が経済の土台です。満員電車は、消費のバロメーターでもあります。人々が活動している証でもあるのではないでしょうか。
弱気相場の株価上昇には、危機からの脱却+業績回復が伴う必要があります。業績回復には消費が不可欠です。
流動性の確保により、第一の危機である金融システム崩壊は今のところ、食止めることができました。しかし、企業業績はどうでしょうか。
我が社は今期も業績抜群と言える企業は僅かではないでしょうか。
流動性確保で銀行の与信残高は伸びていますが、前向きな与信残高増ではなく、企業、個人を存続させるためのものです。
過剰流動性により、ゾンビ企業が多く生まれています。ゾンビが生き返ることはたいへんですよね。
中央銀行による強烈な流動性供給による資産バブル状態です。バブルは、泡が大きくなればなるほど、弾けた時の衝撃は大きくなります。
実体経済の回復なしに持続的な株価上昇はあり得ません。
一番底を付けた2020年3月以降の株価上昇は、行き場のないマネーの過剰流動性がもたらした上昇に、コロナウィルスとの戦いに勝てるという楽観論が支えています。
業績予想を開示できない企業の株が上昇しています。
米国雇用統計、GDP成長率、コロナウィルス第二波、新興国デフォルトなど、何がきっかけで調整局面になるかは分かりません。
相場の格言に、”強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく”というものがあります。
投資戦略
筆者は日本株、米国株いずれも、二番底に備えて売却するつもりはありません。長期投資が筆者の投資スタンスだからです。
二番底があったとしても、いずれ高値をとると考えているからです。
二番底(調整局面)が来たら、米国株を買い増すつもりです。現在も僅かずつですが、ETF、個別株を定期買付しています。
バブルは膨れれば膨れるほど、弾けた時の威力は大きくなります。
各国の財政政策、金融政策が、今の相場を支えていますが、実体経済、企業業績が回復することが株価上昇には必要です。
リーマンショック以降、官制相場が続いていますが、官制相場→民間相場へ移行できるかがポイントです。
二番底に備えた投資スタンスで臨むべきです。
相場に絶対はありません。しかし、行き過ぎた相場は調整が起きます。株価は将来の実体経済を映す鏡と言われています。
一般的な情報提供を目的としたもので、投資家へのアドバイス等ではありません。
Arbei