お金のおはなし~お金の強化書~

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かつての証券営業〜新規開拓〜

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 はじめに

筆者は平成◯◯年に日系大手証券会社に入社しました。

景気はバブル崩壊の後遺症がまだまだあり、悪かったです。

 

今の証券会社は相当クリーンになったと聞きます。

社会全体もコンプライアンスが重要視され、ハラスメントへも厳しく、またワークライフバランスの考えが深まっています。

しかし、かつての証券リテール営業は、クリーンとは程遠い世界でした。

 

筆者の実話に基づいたお話です。筆者は手前味噌ですが、営業成績については同期トップを走り続けていました。

辞めるときも本社に呼ばれ、行きたい部署があるなら言ってくれ、だから辞めないでほしいと懇願されました。

 

社会に出て、「一番頑張った時はいつ?」と聞かれたら、間違いなく一年目です。

その後はサボることも覚えましたし、片手間である程度できるようになってしまいました。

だから、仕事に情熱を持たなくなったのかと思います。

 

新規開拓

集合研修が明けると、新入社員たちは各支店へと配属されます。

筆者はとある地方都市の支店に配属されました。

 

幸いにも、配属された支店の雰囲気は良かったです。

なぜなら、支店の数字が抜群に良かったからです。

何よりも支店長が天才肌でした。役員間違いなしと思っていたのですが、栄転後の支店で足許をすくわれ失脚しました。いつの時代も、他人のことを嵌めようとする自警団がいるのです。

 

証券会社に限らず、営業の職場は数字が悪くなると雰囲気も悪くなり、自由に物言える空気では無くなります。結果として、魔のスパイラルに陥るのです。

 

さて、かつての証券リテール営業は、支店に配属されると新規開拓に出向きます。

 

アイテムは、エリアの法人リスト、医者リスト、高額納税者リスト(2005年まで公表されていました)、名刺、自転車、鞄、黒縁のメガネ、そして電話です。

 

電話セールス

今ほど、個人情報についてうるさくなかった時代です。とはいっても、闇のリストなどはなく、法人リスト、開業医リスト、高額納税者リストが新規開拓の対象先です。

 

電話帳を使って新規開拓などはありません。なぜなら、富裕層を相手にしなくてはいけないからです。100万円の取引を汗水かいて獲ろうとはしませんし、属性が悪い先を開拓すると上司にめちゃくちゃ怒られました。

 

リストが500件〜700件程度でしたので、毎週もしくは毎日、「お世話になります。◯◯証券××支店の▲▲と申します。恐れ入りますが、社長はいらっしゃいますでしょうか。」とまずは、電話を繋いでもらうことが大変でした。

 

電話セールスでは「お世話になります。」という挨拶が不思議でした。

なぜなら、お世話になってない証券会社の営業からの電話だからです。

でも、電話を繋いで貰うためには有効な言葉かと割り切っていました。

 

100件に1,2件は繋いで貰えます。その電話でアポが獲れれば、超ラッキーです。

 

電話に出てくれて、アポが獲れなかったら、どうするか。行きます、その場にいることが分かったので、自転車で駆け付けます。

 

かつての証券会社の電話セールスは受話器と手をガムテープで固定という話もありましたが、筆者はなかったです。

その代わり、受話器を置くと「なぜ受話器を置くの?」と真顔で言われました。

そして、”電話セールスをやり続ければ火が出るはず。火が出ていないのだからまだまだできるはず!”とドラゴンボールの世界へとのめり込んでいくのです。

 

情熱と笑顔

新規開拓は正攻法が無く、たいへんです。ルート営業や紹介などと違い、全く知らない先を開拓するのです。

 

今でも尊敬する上司に聞きました、"新規開拓はどうすればできますか"と。"情熱と笑顔です!!!!"、はい終了ですね。

 

今となれば、馬鹿なことを質問したと思います。新規開拓に万人共通のコツなんてないんです。

 

どれだけ汗をかいて、自分に負荷をかけることができるかが、第一歩です。その中から、独自のコツを見つけていくのです。

 

筆者は近眼なのでコンタクトをしていましたが、黒縁メガネに換えました。

胡散臭い証券臭を少しでも消そうと思ったからです。

 

夜討ち朝駆け

今の時代はタブーでしょう。筆者は一度だけやりましたが、その時に二度とやらないと決めました。朝5時に見ず知らずの人間がインターホンを押して、会いに来るのです。

 

今考えると恐怖でしかありませんが、その時は間違いなく、怒られるだろうけど、もしかして熱心と思ってもらえるかもしれないという気持ちでいっぱいでした。

 

結果はもちろんダメというか散々でした。今の時代なら、警察に通報されていますね。

 

待ち伏せもしました。どうしても開拓したい先、開拓するために、社長の車を見極め、帰社するのを張り込みました。

探偵気分ですが、車から降りてくるところを猛ダッシュし、会いに行くのです。

 

雨の日の外訪と熱中症

外訪は基本的に自転車でした。時々、誰も使わない時間は営業車を使えました。

 

夏の雨は寒くないので、ずぶ濡れになって、個人宅のインターフォンを押したりもしました。

 

相手に覚えてもらう(深い印象を与える)ことと、情が湧いてくれることを期待してでの作戦です。

 

何回かやりましたが、効果が大きくない上に、スーツがダメになるというデメリットが大きく、雨の日は外訪ではなく、電話セールスに集中するようになりました。

 

当時はクールビズもなかったので、夏場でもネクタイを締めていました。自転車のカゴには常に2ℓのペットボトルを積んでいました。

 

しかし、かなり気合を入れて、朝から夕方まで自転車をこぎ続けた日、熱中症になりました。支店に戻った記憶がほとんどなく、応接室に担ぎ込まれたようです。大事に至らなかったので、良い思い出です。

 

ルーティン化

業務をルーティン化させると、効果が上がりやすいと思います。

 

毎週〇曜日の◇時に必ず訪問する、毎週▲曜日は朝から外回りをするなど、自分でルールを作り、ルーティン化するのです。

 

ルーティン業務をこなすのは、けっこうしんどいですが、結果を出すためには繰り返すことが必要です。ラッキーパンチを狙うより、確実に結果に結びつきます。

 

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 最近は

 

証券リテール営業では、その他にも色々思い出がありますし、工夫してなんとかお客様になってもらおうと必死でした。

 

最近はコンプライアンスが強化され、ハラスメントに対しても厳しくなっているので、今やったらアウト!のものが多かったなと思います。

 

自由だったなと懐かしくも良い思い出です。

熱心さとしつこさの間で葛藤していた思い出があります。

 

最近の営業は、みんな同じような営業スタイルですし、創意工夫がなく、つまらないです。泥臭くなく、洗練されているものの、心が無い営業が増えたような気がします。

 

今日は、ちょっとでも変わったことをすると、ルール違反、コンプライアンス違反など後ろ指を刺されてしまいます。

 

時代なのでしょうが、息苦しさを感じていました。

 

かつての証券会社のリテール営業は、コミッション(収益)至上主義でしたので、顧客の利益にならない取引も多かったと思います。

 

今は、預かり資産増加に軸足を置くようになっているので、かつてほど収益至上主義ではなくなっていると思います。

 

 

時代は動いているのですね。

 

 

Arbei

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