外貨建運用
外貨運用
外貨運用と聞くとリスクが高いと思う方が多いかもしれません。確かに為替リスクはあります。
でも、円転を考えずに外貨のまま保有し続ける場合はどうでしょうか。
資産を円だけでなく、外貨に分散できたと思いませんか。
もちろん、円高局面で外貨へ換えたほうが買える外貨の量は増えます。
外貨で儲けようとすると、ドル転した時よりも円安になったら円転しようと考えるのではないでしょうか。
これは、FX取引に代表されるような為替差益を狙いにいく取引です。
銀行に勤めていた頃、何故高い為替手数料を支払って、外貨運用をする人が多いのかと不思議に思っていました。
これは情報の非対称性があるからです。
金融機関のリテール営業は情報弱者を相手にしていると言っても過言ではありません。
例えば、ネット銀行やFX口座なら為替手数料は銀行窓口のものよりも遥かに顧客サイドに立ったものになっています。
銀行窓口の米ドル為替手数料は片道1円、FXだと片道1銭かかりません。ネット銀行も片道4〜15銭程度で取引できます。
為替差益を狙わずに、資産防衛として外貨を持つことは将来的に意味を為すかもしれません。
円だけのポートフォリオに外貨を入れることが、結果として資産を守ることになるかもしれません。
こちらをご覧下さい。
外貨の代表的な運用商品
外貨定期預金
外貨の運用商品で一番リスクが低いのは外貨定期預金です。
預入期間を預ければ金利収入が発生します。
中途解約についても、可能です。
ただし、満期前に中途解約すると、約束されていた金利を放棄することになります。
中途解約した場合、通常は普通預金の利息が付与されます。
外貨預金はペイオフの対象外ですので、預け入れしていた金融機関が破綻した場合、おそらく元本は戻ってきません。
外債、MMF
外債は発行体の格付、財務内容、期間、市場金利によってリスクとリターンが変わってきます。
債券は償還まで保有していれば、保有期間中に金利収入があり、償還時には元本が戻ってきます。
割引債のように、投資元本90だったものが、償還時100になって戻ってくるものもあります。
ただし、債券の発行体のリスクは投資家が負います。デフォルトリスクです。
債券の発行体が債務不履行(デフォルト)した場合、投資元本は戻ってきません。
償還前に解約すると、債券も株式と同じように市場で売買されていますので、額面で戻ってこない場合もあります。
債券は主に発行体の格付と、市場金利によって価格が変動します。
金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がります。
MMFは短期債で運用されている商品で、外貨運用の中では安定した商品です。
しかし、過去に元本割れしたことがあります。エンロン破綻時、リーマンショック時にはMMFも元本割れしました。
債券で運用されているETFもあります。
外貨建投資信託
証券会社の取り扱いになり、取扱商品も国内投信に比べて少ないですが、外貨建投信もあります。
投資信託なので、運用対象が株式、債券、ヘッジファンドなど様々です。ETFと比較し、魅力的な方を選択して下さい。
外貨建保険
経費が高いため、運用という観点から見ると筆者にとって魅力は薄い商品ですが、外貨建の保険商品も選択肢の一つになります。
外貨建で保険金にレバレッジが効く商品は遺すニーズに応えることができます。
しかし、一時払で定期支払金があるタイプの保険商品や、予定利回りが決まっているタイプのものは、同預入期間の債券に比べると利回りが低いです。
外貨建変額年金保険もありますが、経費が高すぎるので増える期待を持てません。
メリットとしたら、満期まで持てば外貨建では元本保証するタイプがあることでしょうか。
経費が高い商品は金融商品として、よっぽど魅力がない限り、筆者は手を出しません。
FX
FXというとリスクが高いとイメージされるのではないでしょうか。
確かに証拠金取引は、証拠金の25倍までレバレッジをかけ、売り買いともに建てることができますので、リスクが高いです。通貨、FX業者により、証拠金率もちがいます。
予想と逆に動いた場合は、ロスカットを早期にしなくては大やけどします。
また、相場が急落した場合は、ロスカットが間に合わず、追加証拠金が必要となります。
レバレッジなしでの取引もできます。レバレッジ無しであれば、追加証拠金の心配もありません。
詳しくはこちらをご覧ください。
株式、リート、ETF
個別株、ETFなど全ての銘柄ではありませんが、投資することができます。
アップル、アマゾン、マイクロソフトなどのグローバル企業や、米国株だけでなく、中国株、ヨーロッパ株なども購入することができます。
ただし、海外企業の情報入手は困難です。
BBCやCNNを見る、ネットを見る、企業HPを見るなどに限られてきますので、個別銘柄の選定は国内株よりも難しいです。
個別銘柄の選定は難しいですが、見つけるたのしみでもあります。
ETFにお任せしてしまうのは、良い選択肢かと思います。投資対象を絞ったETFもあります。
株式リートは、相応のリスクがあります。
外貨の運用先は基本的に円の運用先と同じです。保有資産の通貨を分散させることが、資産防衛になる可能性もあります。
一般的な情報提供であり、投資家への投資アドバイスなどではありません。
Arbei
かつての証券営業〜新規開拓〜
はじめに
筆者は平成◯◯年に日系大手証券会社に入社しました。
景気はバブル崩壊の後遺症がまだまだあり、悪かったです。
今の証券会社は相当クリーンになったと聞きます。
社会全体もコンプライアンスが重要視され、ハラスメントへも厳しく、またワークライフバランスの考えが深まっています。
しかし、かつての証券リテール営業は、クリーンとは程遠い世界でした。
筆者の実話に基づいたお話です。筆者は手前味噌ですが、営業成績については同期トップを走り続けていました。
辞めるときも本社に呼ばれ、行きたい部署があるなら言ってくれ、だから辞めないでほしいと懇願されました。
社会に出て、「一番頑張った時はいつ?」と聞かれたら、間違いなく一年目です。
その後はサボることも覚えましたし、片手間である程度できるようになってしまいました。
だから、仕事に情熱を持たなくなったのかと思います。
新規開拓
集合研修が明けると、新入社員たちは各支店へと配属されます。
筆者はとある地方都市の支店に配属されました。
幸いにも、配属された支店の雰囲気は良かったです。
なぜなら、支店の数字が抜群に良かったからです。
何よりも支店長が天才肌でした。役員間違いなしと思っていたのですが、栄転後の支店で足許をすくわれ失脚しました。いつの時代も、他人のことを嵌めようとする自警団がいるのです。
証券会社に限らず、営業の職場は数字が悪くなると雰囲気も悪くなり、自由に物言える空気では無くなります。結果として、魔のスパイラルに陥るのです。
さて、かつての証券リテール営業は、支店に配属されると新規開拓に出向きます。
アイテムは、エリアの法人リスト、医者リスト、高額納税者リスト(2005年まで公表されていました)、名刺、自転車、鞄、黒縁のメガネ、そして電話です。
電話セールス
今ほど、個人情報についてうるさくなかった時代です。とはいっても、闇のリストなどはなく、法人リスト、開業医リスト、高額納税者リストが新規開拓の対象先です。
電話帳を使って新規開拓などはありません。なぜなら、富裕層を相手にしなくてはいけないからです。100万円の取引を汗水かいて獲ろうとはしませんし、属性が悪い先を開拓すると上司にめちゃくちゃ怒られました。
リストが500件〜700件程度でしたので、毎週もしくは毎日、「お世話になります。◯◯証券××支店の▲▲と申します。恐れ入りますが、社長はいらっしゃいますでしょうか。」とまずは、電話を繋いでもらうことが大変でした。
電話セールスでは「お世話になります。」という挨拶が不思議でした。
なぜなら、お世話になってない証券会社の営業からの電話だからです。
でも、電話を繋いで貰うためには有効な言葉かと割り切っていました。
100件に1,2件は繋いで貰えます。その電話でアポが獲れれば、超ラッキーです。
電話に出てくれて、アポが獲れなかったら、どうするか。行きます、その場にいることが分かったので、自転車で駆け付けます。
かつての証券会社の電話セールスは受話器と手をガムテープで固定という話もありましたが、筆者はなかったです。
その代わり、受話器を置くと「なぜ受話器を置くの?」と真顔で言われました。
そして、”電話セールスをやり続ければ火が出るはず。火が出ていないのだからまだまだできるはず!”とドラゴンボールの世界へとのめり込んでいくのです。
情熱と笑顔
新規開拓は正攻法が無く、たいへんです。ルート営業や紹介などと違い、全く知らない先を開拓するのです。
今でも尊敬する上司に聞きました、"新規開拓はどうすればできますか"と。"情熱と笑顔です!!!!"、はい終了ですね。
今となれば、馬鹿なことを質問したと思います。新規開拓に万人共通のコツなんてないんです。
どれだけ汗をかいて、自分に負荷をかけることができるかが、第一歩です。その中から、独自のコツを見つけていくのです。
筆者は近眼なのでコンタクトをしていましたが、黒縁メガネに換えました。
胡散臭い証券臭を少しでも消そうと思ったからです。
夜討ち朝駆け
今の時代はタブーでしょう。筆者は一度だけやりましたが、その時に二度とやらないと決めました。朝5時に見ず知らずの人間がインターホンを押して、会いに来るのです。
今考えると恐怖でしかありませんが、その時は間違いなく、怒られるだろうけど、もしかして熱心と思ってもらえるかもしれないという気持ちでいっぱいでした。
結果はもちろんダメというか散々でした。今の時代なら、警察に通報されていますね。
待ち伏せもしました。どうしても開拓したい先、開拓するために、社長の車を見極め、帰社するのを張り込みました。
探偵気分ですが、車から降りてくるところを猛ダッシュし、会いに行くのです。
雨の日の外訪と熱中症
外訪は基本的に自転車でした。時々、誰も使わない時間は営業車を使えました。
夏の雨は寒くないので、ずぶ濡れになって、個人宅のインターフォンを押したりもしました。
相手に覚えてもらう(深い印象を与える)ことと、情が湧いてくれることを期待してでの作戦です。
何回かやりましたが、効果が大きくない上に、スーツがダメになるというデメリットが大きく、雨の日は外訪ではなく、電話セールスに集中するようになりました。
当時はクールビズもなかったので、夏場でもネクタイを締めていました。自転車のカゴには常に2ℓのペットボトルを積んでいました。
しかし、かなり気合を入れて、朝から夕方まで自転車をこぎ続けた日、熱中症になりました。支店に戻った記憶がほとんどなく、応接室に担ぎ込まれたようです。大事に至らなかったので、良い思い出です。
ルーティン化
業務をルーティン化させると、効果が上がりやすいと思います。
毎週〇曜日の◇時に必ず訪問する、毎週▲曜日は朝から外回りをするなど、自分でルールを作り、ルーティン化するのです。
ルーティン業務をこなすのは、けっこうしんどいですが、結果を出すためには繰り返すことが必要です。ラッキーパンチを狙うより、確実に結果に結びつきます。
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最近は
証券リテール営業では、その他にも色々思い出がありますし、工夫してなんとかお客様になってもらおうと必死でした。
最近はコンプライアンスが強化され、ハラスメントに対しても厳しくなっているので、今やったらアウト!のものが多かったなと思います。
自由だったなと懐かしくも良い思い出です。
熱心さとしつこさの間で葛藤していた思い出があります。
最近の営業は、みんな同じような営業スタイルですし、創意工夫がなく、つまらないです。泥臭くなく、洗練されているものの、心が無い営業が増えたような気がします。
今日は、ちょっとでも変わったことをすると、ルール違反、コンプライアンス違反など後ろ指を刺されてしまいます。
時代なのでしょうが、息苦しさを感じていました。
かつての証券会社のリテール営業は、コミッション(収益)至上主義でしたので、顧客の利益にならない取引も多かったと思います。
今は、預かり資産増加に軸足を置くようになっているので、かつてほど収益至上主義ではなくなっていると思います。
時代は動いているのですね。
Arbei
二番底はないのか~コロナバブル~
はじめに
筆者は2020年3月末の段階で株式市場の二番底はあると記事にしています。
2020年3月末〜株式市場は強く、半値戻しも達成しました。このまま、上昇が続くのではないかと思わせる強さです。
実体経済と株式市場の乖離が広がるばかりです。
なぜ、株式市場は強いのでしょうか。
答えは二つです。各国の金融緩和、財政出動によるカネあまりと楽観論です。
金融緩和により、行き場のないマネーが株式市場に流れ込んでいます。
また、コロナウィルスの影響の収束が早いだろうという楽観論です。
結論から申し上げると、今は弱気相場の反発に過ぎないのではないかとことです。
二番底の深さは、過剰流動性による資産バブルの大きさによって変わってくるでしょう。
二番底の可能性を考えながら運用する必要もあるのではないでしょうか。
金融緩和・財政出動
各国も金融緩和・財政出動による経済の下支えに懸命です。市場にはマネーが大量に供給されています。
リーマンショック時は、金融システムの崩壊・信用収縮から実体経済へ波及しました。
今回のコロナショックは、実体経済の悪化から金融システムへの波及を抑えるために、先手で金融システムの維持、金融機関の信用収縮が起きないようにしました。
リーマンショック時とは景気後退への流れが逆です。
FRB、ECB、日銀、その他新興国中央銀行含め、金融緩和によって景気底割れを何とか防ごうとしています。
米国ゼロ金利政策導入、機軸通貨であるドルへ各国中央銀行が協調で供給オペ、国民に給付金、国債の実質的な中央銀行による購入による流動性確保など、リーマンショック時の反省を活かし、当時と比べて対応が早いです。
世界一の経済大国アメリカも、FRBによる国債買い取り(ヘリコプターマネー)、短期社債買い取り、ハイイールド債の買い取りなど、信用収縮が起きないように、カネをばら撒いています。
FRBがハイイールド債まで買うことに驚いていますが、原油安によるシェール関連の経営状況は深刻なので、原油安による企業倒産連鎖を防ぐ狙いもあります。
何よりも信用収縮を防ごうとする施策です。
出典:investing.com NYダウ平均株価
日銀は、株式の買付を続けていますが、株式の買付をしている先進国中央銀行は日銀のみです。
しかも、それは今に始まったことではなく、コロナショック以前から中央銀行が株を買い支えています。
買付可能額を増額し、市場安定をさせる社会主義国の官制相場が更に拡大しています。
業績予想開示
株価=EPS(一株当たり利益)×PER
株価=BPS(一株当たり純資産)×PBR
業績予想に対して、実際の数字が上回るか、下回るか、進捗率はどうかによって株式は売買されます。
現在は、多くの企業が今期の業績予想を出すことが出来ない状況です。
つまり、予想EPSが分からない企業の株が売買されているのです。
もちろん、株価はPER、EPSだけで決まるものではありませんが、利益見通しを立てることが出来ない株価は何を基準に売買されているのでしょうか。
2020年はダメだけど、2021年はV字回復すると思わない限り、今の実体経済と株価の乖離は説明できません。
もしくは、4-6月期は壊滅的だけど、7-9月期から回復するとの期待が大きすぎるのです。
つまり、楽観論が2020年3月に一番底を付けてからの市場の動きです。
今回のコロナショックは特別で二番底はない、年末にも高値を更新するなどという専門家もいますが、筆者は懐疑的に受けとらえています。
なぜなら、実体経済が悪いからです。金融緩和により、企業の流動性は確保できましたが、流動性の確保は第一の危機を避けたにすぎません。
日本経済も、緊急事態宣言は解除されましたが、企業活動が危機前の水準に戻っていると感じる方はいないのではないでしょうか。
6月、7月から急激に人々の活動が戻ると思いますか。
例えば、インバウンド効果が日本経済を下支えしていました。
昨年は2700万人の訪日客がいましたが、今はどうでしょうか。1万人にもいかず、4月の訪日客は2700人です、99%減です。消費が消滅してるのです。
満員電車に最近乗ってますか。
テレワークが働き方の一つに定着するでしょうが、家では消費活動は限定的です。
消費が経済の土台です。満員電車は、消費のバロメーターでもあります。人々が活動している証でもあるのではないでしょうか。
弱気相場の株価上昇には、危機からの脱却+業績回復が伴う必要があります。業績回復には消費が不可欠です。
流動性の確保により、第一の危機である金融システム崩壊は今のところ、食止めることができました。しかし、企業業績はどうでしょうか。
我が社は今期も業績抜群と言える企業は僅かではないでしょうか。
流動性確保で銀行の与信残高は伸びていますが、前向きな与信残高増ではなく、企業、個人を存続させるためのものです。
過剰流動性により、ゾンビ企業が多く生まれています。ゾンビが生き返ることはたいへんですよね。
中央銀行による強烈な流動性供給による資産バブル状態です。バブルは、泡が大きくなればなるほど、弾けた時の衝撃は大きくなります。
実体経済の回復なしに持続的な株価上昇はあり得ません。
一番底を付けた2020年3月以降の株価上昇は、行き場のないマネーの過剰流動性がもたらした上昇に、コロナウィルスとの戦いに勝てるという楽観論が支えています。
業績予想を開示できない企業の株が上昇しています。
米国雇用統計、GDP成長率、コロナウィルス第二波、新興国デフォルトなど、何がきっかけで調整局面になるかは分かりません。
相場の格言に、”強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく”というものがあります。
投資戦略
筆者は日本株、米国株いずれも、二番底に備えて売却するつもりはありません。長期投資が筆者の投資スタンスだからです。
二番底があったとしても、いずれ高値をとると考えているからです。
二番底(調整局面)が来たら、米国株を買い増すつもりです。現在も僅かずつですが、ETF、個別株を定期買付しています。
バブルは膨れれば膨れるほど、弾けた時の威力は大きくなります。
各国の財政政策、金融政策が、今の相場を支えていますが、実体経済、企業業績が回復することが株価上昇には必要です。
リーマンショック以降、官制相場が続いていますが、官制相場→民間相場へ移行できるかがポイントです。
二番底に備えた投資スタンスで臨むべきです。
相場に絶対はありません。しかし、行き過ぎた相場は調整が起きます。株価は将来の実体経済を映す鏡と言われています。
一般的な情報提供を目的としたもので、投資家へのアドバイス等ではありません。
Arbei
働き方を改革
パレートの法則(2:8の法則)
2割の顧客から8割の収益をもたらしている
2割の社員が8割の収益を上げている
仕事の成果の8割は、費やした時間全体のうち2割の時間で生み出している
上記が全て2:8になるわけではありませんが、当てはまることが多いと思います。
人は能力を100%発揮することはできません。
正確には100%の能力発揮を継続することはできません。
集中力、精神面、環境など人は一つのことだけに注力し続けることはできません。
優秀な人材を社内から100名集めた部署でも、同じようなことが起きます。評価に序列が付いたり、グループが形成されたり、嫉妬から業務を妨害されるなど要因は様々です。
優秀な100名も20名の超優秀な人材と80名の平凡な人材に分かれます。
では、80名の平凡になってしまった人材はどうするべきでしょうか。元々は優秀と評価されていた人材です。
では、100名の優秀な人材を活かすためにはどのような組織ならいいのでしょうか。
ピラミッド型組織からの脱却
ピラミッド型組織の場合、組織のボスがいますので、社内政治が働きます。
人間が作る組織ですので公平な評価は不可能です。人間は自分の過去、経験を美化します。昔は良かったなぁと思ったことは誰にでもあるのではないでしょうか。
自分の過去、経験を美化することにより、自分に似た人材を高く評価する傾向にあります。
特に無能な人間がボスになると組織は停滞するとともに、無能なボスの機嫌を取ることが最大の目標になってしまいます。
評価は働くモチベーションになります。ピラミッド型組織では、全員が公平な評価を受けることはできません。
フラット型組織はどうでしょうか。組織の長がいない組織です。
フラット型組織の場合、個々人の能力が高くないと成り立ちません。
個々人が役割を果たし、自己管理の徹底ができる"プロ人材"であることが求められます。
プロ人材が集まった組織は強くないですか。マネジメントをセルフプロデュースする組織です。
自己管理のできる優秀な人材が集まる組織なら、フラット型組織の方が能力を発揮できるのではないでしょうか。
自己管理ができない人間はフラット型組織では、活躍できません。優秀な人材でも自己管理できなかったり、他者(上司)からの評価を働くモチベーションにしている場合は、ピラミッド型組織に適しています。
IQより愛嬌
組織が巨大になると、顧客への臭覚より、社内政治への臭覚を求められます。これが今の日本の大企業が陥っている状況です。
対外的には顧客第一と言いながら、視線の先には社内政治があるのです。
社風が生まれる背景に社内政治があります。似たような人材が、組織の主要ポストに就くからです。
業務IQが高くても、愛嬌(媚び諂う能力)が高くないと社内政治に負けてしまいます。
ピラミッド型組織の最大の欠点でしょう。
雇用確保
失業率が高まると治安悪化が避けられません。
しかし、企業はボランティアではないので、経費でしかない人材を雇うことはしません。
失業率上昇を抑えるためにはどうすればいいか。簡単なのは一人当たりの労働時間を抑えればいいのです。
生産量=一人当たり労働時間×生産性×労働人口
一人当たり労働時間100 生産性1 労働人口100の場合、生産量は10,000です。
一人当たり労働時間を20%削減し、労働人口を20%増やすと、
一人当たり労働時間80 生産性1 労働人口120の場合、生産量は9,600になります。
一人当たり労働時間を20%削減し、労働人口を20%増やしても生産量は減ります。
現実的には、労働時間を削って労働人口を増やそうとする民間企業はないです。
社会保険料負担、教育費などのコストは労働人口が増えれば、企業の負担も大きくなります。
単純に労働時間を減らした場合、
一人当たり労働時間80 生産性1 労働時間100の場合、生産量は8,000になります。
では雇用を確保しつつ、生産量を維持、向上させるためにはどうすればよいでしょうか。
計算式上では、生産性を上げればいいだけです。
パレートの法則でもありますが、”仕事の成果の8割は、費やした時間全体のうち2割の時間で生み出している”というのに、思い当たる節がある方は多いのではないでしょうか。
一人当たり労働時間80 生産性1.2 労働人口100では生産量を維持できません。生産性を1.25以上にしなくては、労働時間を20%削減した場合、生産量を維持できないのです。
生産性向上にはどうすればよいのでしょうか。
適材適所の人材配置、能力を発揮できる環境作り、公平な評価体制、業務の可視化などがあげられます。
テレワーク
テレワークをしている多くの方が思ったのは、通勤時間の無駄ではないではないかということです。通勤による疲労、ストレスは集中力を削ぎます。
片道1時間だとすると、週10時間通勤時間に割かれます。年間で500時間、20日以上の時間がオフィスに通うための移動時間になってるのです。
週休2日とした場合、年間の労働日数は約240日になります。
通勤時間がなくなるだけで、20/240=8.3%分の自由な時間・労働時間を捻出できます。
テレワークとオフィスワークを比べた場合で、生産性を比較し、テレワークの方が生産性が高ければテレワークをすべきです。
コロナ危機でテレワークを活用した企業は多く、その中でテレワーク自体も進化したと思います。
最初は戸惑うことが多かったテレワークも慣れると、オフィスワークよりも仕事が捗ると感じた方も多いのではないでしょうか。
オフィスワークの必要性は何でしょうか。
情報漏洩防止、団結力、会議、部下の監視などでしょうか。
特に、情報漏洩防止・部下の監視など性悪説に基づく組織論が、オフィスワークを推奨する理由になっているのではないでしょうか。
生産性向上によって、労働時間も削減できます。
生産性向上のための第一歩は、”当たり前の排除”です。当たり前を当たり前と思わず、当たり前が当たり前ではないのではないかと向き合う必要があります。
”銀行員の常識は社会の非常識”という言葉があります。常識を疑うことが、当たり前の排除・無駄の削減に繋がります。
コロナ危機をきっかけに、生活のあり方も変わるでしょうし、働き方も変わります。
従来の組織論では、変化する社会に対応できなくなるでしょう。
ニュージーランド首相が、週休3日制を提唱しています。週5日働いた場合と、週4日働いた場合の生産量を各企業は比較すべきです。
日本マイクロソフトはこのほど、週休3日制を試験的に導入したところ、労働生産性が40%上がったとの結果を発表した。
同社は8月、毎週金曜日を休業日にする実験を行った。この日は「特別有給休暇」として、正社員には給料が支払われた。
また、会議を最大30分までとしたほか、対面ではなくオンライン上でのやりとりを奨励した。
日本は世界でも最も労働時間が長い国のひとつとされる。
「賢く休む」
2017年の調査によると、月に80時間以上の残業を行う社員がいる企業は全体の4分の1近くに上る。たいていは給料が支払われないという。
日本マイクロソフトが8月に行った「ワークライフチョイス チャレンジ 2019 夏」は、実施後のアンケートで社員の92%が支持を表明した。
1カ月にわたった取り組みでは、電力消費量が前年同月比23.1%、印刷枚数が58.7%、それぞれ減少した。
同社は今年の冬にも2度目の「ワークライフチョイス チャレンジ」を行う予定だが、「特別有給休暇」は設けない方針だという。
その代わり、社員自身が有給休暇や年末年始休暇などを組み合わせて「賢く休む」よう奨励される。出典:BBC (2019.11.5)
日本も緊急事態宣言明け直後で、週1日は在宅勤務・自宅待機にする企業も多いと思います。週休2日制と週休3日制を比べることができる機会だと思います。
ITの進化により、20年前と今日では、人間がする仕事は減っているはずです。
人件費の削減というよりも、生産性向上のための週休3日制は検討すべき時ではないでしょうか。
Arbei
アフターコロナの資産防衛~外貨への分散~
通貨
”円”で買い物をしたり、”円”を外貨に換えて海外で買い物がしたり、”円”をモノ・サービスに換えることができるのが当たり前になっています。
なぜ、円で決済ができるかというと、円に信用力があるからです。
通貨は信用力に裏付けされているからこそ、決済できます。
国家が通貨に決済力を与えているのです。
しかし、通貨に信用力がなかったらどうなるでしょうか。決済力を失い、モノ・サービスと換価することができなくなりますし、他国通貨との取引もできなくなります。
今回は、運用して増やすというより、資産防衛のための外貨保有についてです。
今すぐに、円の信用力がなくなるとは筆者も全く思っていません。円の信用力がなくならない可能性の方が高いと思っています。
しかし、万が一に備えた資産防衛は必要です。
円が100%安全と言えない状況だからです。
国の借金が1,000兆円を超えているからというより、中央銀行である日銀の動向が危機を招く可能性があるのではないかと思います。
本や雑誌でも、外貨を保有すべきという論調がある一方、円が決済機能を失うことはないので、為替リスクをとるべきではないという意見もあります。
筆者は前者です。特に今日その気持ちは強くなっています。
日本銀行の暴走
黒田総裁と安倍首相は歴史に名を残すかもしれません。異次元緩和が引き起こした日本崩壊の立役者として。
2013年に黒田総裁が就任して以降、”異次元の金融緩和”と題して、まずはインフレ率2%を目指しました。デフレ脱却を目指した中央銀行の本気度が伝わり、当初は歓迎されました。
しかし、結果としてインフレ率2%は未達のままです。
そして、日本銀行が異次元緩和から抜け出せなくなっていることが最大の失策です。ゴールが見えない状態の中、金融緩和から抜け出せなくなっています。
コロナ危機で更に金融緩和を強めました。コロナ危機は本当の経済危機なので、金融緩和は必要ですが、それまでのツケが大きすぎます。
デフレ(物価下落)の問題は、お金が回らなくなることです。モノ・サービスの価値が上がらないため、お金の価値が相対的に上がり、モノ・サービスに換価しなくても、資産価値が保たれるのです。
お金が回らないとどうなるか。お金は経済の血液です。血液が回らない経済は衰退します。モノ・サービスが売れなければ、所得は上がりません。所得が上がらなければ、お金を使わなくなります。
インフレは経済成長のためには必要ですし、適正な経済成長をしていればインフレは起きます。日本はバブル崩壊の後遺症が大きすぎました。
日本銀行の金融政策
金融政策の概要
日本銀行はわが国の中央銀行として、物価の安定のために、金融政策の決定と実行に当たっています。
ここでいう物価とは、モノやサービスの価格を全体としてとらえたものです。
物価が安定していて、お金を安心して使うことができるということは、あらゆる経済活動や国民経済の基盤です。
金融政策とは、公開市場操作(オペレーション)などの手段を用いて、金融市場における金利の形成に影響を及ぼし、通貨および金融の調節を行うことです。
金融政策運営の基本方針は、日本銀行政策委員会の「金融政策決定会合」とよばれる会合で決定します。会合では、金融経済情勢に関する検討を行うとともに、金融市場調節方針や当面の金融政策の運営方針を決定し、決定した内容は直ちに公表しています。ここで決定された金融市場調節方針に従って、日本銀行では日々の金融調節の金額や方法を決定し、資金の供給や吸収を行っています。
出展:日本銀行HPより抜粋
物価の安定と2%の「物価安定目標」
日本銀行法では、日本銀行の金融政策の理念を「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」としています。
物価の安定が大切なのは、それがあらゆる経済活動や国民経済の基盤となるからです。
市場経済においては、個人や企業はモノやサービスの価格を手がかりにして、消費や投資を行うかどうかを決めています。物価が大きく変動すると、個々の価格をシグナルとして個人や企業が判断を行うことが難しくなり、効率的な資源配分が行われなくなります。また、物価の変動は所得配分にゆがみをもたらします。こうした点を踏まえ、日本銀行は、2013年1月に、「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定め、これをできるだけ早期に実現するという約束をしています。
出展:日本銀行HPより抜粋
長短金利操作付き量的・質的金融緩和
日本銀行は、2016年9月の金融政策決定会合において金融緩和強化のための新しい枠組みである「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入しました。
新しい政策枠組みは、2つの要素から成り立っています。第1に、金融市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、第2に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」です。
- (1)イールドカーブ・コントロール
「総括的な検証」で示したとおり、2013年4月に導入した「量的・質的金融緩和」は、主として実質金利低下の効果により経済・物価の好転をもたらし、日本経済は、物価の持続的な下落という意味でのデフレではなくなりました。これを踏まえ、実質金利低下の効果を長短金利の操作により追求する「イールドカーブ・コントロール」を、新たな枠組みの中心に据えることとしました。
その手段としては、2016年1月のマイナス金利導入以降の経験により、日本銀行当座預金へのマイナス金利適用と長期国債の買入れの組み合わせが有効であることが明らかになりました。これに加えて、長短金利操作を円滑に行うための新しいオペレーション手段(指値オペ)を導入することとしました。
- (2)オーバーシュート型コミットメント
日本銀行は、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続するという「オーバーシュート型コミットメント」を導入しました。これによって、2%の「物価安定の目標」の実現に対する人々の信認を高めることを狙いとしています。
日本銀行は、2018年7月、強力な金融緩和を粘り強く続けていく観点から、政策金利のフォワードガイダンスを導入することにより、「物価安定の目標」の実現に対するコミットメントを強めるとともに、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化する措置を決定しました。
日本銀行では、2013年4月に、「量的・質的金融緩和」を導入しました。その後、2014年10月には「量的・質的金融緩和」の拡大、2015年12月には「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置の導入、2016年1月には、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入、2016年7月には「金融緩和の強化」を行いました。
出典:日本銀行HPより抜粋
マネタリーベースを増やせば、物価が上がるというのは経済が通常に機能しているときです。
お金を市場にばら撒き、通貨供給量を増やし、お金の価値を下げるという金融政策です。
しかし、デフレをインフレにするためには、マネタリーベースを増やすだけでは効果が限定的であることが実証されました。
お金が回る仕組みを作らなくてはならないのですが、マイナス金利導入をしても、お金はうまく回っていません。
なぜか?必要なところにお金が回るシステムが整っていないために、所得が増えていないからです。
マイナス金利を導入し、民間銀行に融資を通して、市中にお金が回ることを期待していましたが、融資の伸びは弱いです。銀行経営が苦しくなるという副作用の方が、目立ってしまっています。
出典:一般社団法人全国銀行協会
カネあまりによる不動産向け融資は伸び、不動産価格が上昇しました。個人向け融資も住宅ローン、アパートローンなどは伸びました。
法人向け融資の伸びは緩やかです。コロナ危機で瞬間風速的に伸びるでしょうが。
量的質的金融緩和
中央銀行が民間企業の株式(ETF)、Jリートを買うというのは資産効果を期待してのものかと思います。
しかし、中央銀行が市場で株を買い続けるというのは、もはや金融市場が機能していないということではないでしょうか。
中央銀行が市場で株式やリートを買っているのは日本のみです。
無理矢理、有価証券を中央銀行が買い支えている構造です。社会主義国家の証券市場です。市場では「日銀砲」という言葉があります。日銀が株を買い支えるための買い注文です。市場原理が歪められています。
実体経済と株価推移の乖離が大きいのは、中央銀行による買い支えと金余りによって、有価証券や不動産に金が回っているためです。
景気回復の実感が湧かない人が多いのは、可処分所得が増えていないからです。消費増税・各種所得控除の見直し・社会保険料負担増などが可処分所得を引き下げています。
株や不動産上昇による資産効果を享受できたのは、富裕層と外国人投資家が多いのではないでしょうか。
株が下がれば、日銀の財政も悪化します。先日、日経平均株価19,500円程度が損益分岐点とありましたが、下がれば資産は減ります。
国債に関しては、2020年5月22日時点で480兆円近くを日銀が保有してますので、金利上昇したら一気に債務超過になるリスクがあります。
また、買い集めた株(ETF)はどうするのでしょうか。売るとなれば市場は混乱し、大きく調整するでしょうし、持ち続けるのもリスクが大きいです。異次元金融緩和の出口が見えません。
日銀の財政破綻リスク
中央銀行が財政破綻したら、どうなるか。その国の通貨は信用力を失い、決済力を失う可能性が高いです。
日銀が債務超過に陥る可能性はあります。
リスク資産の割合が大きすぎます。
金利上昇リスクに耐えられません。耐えられないので、マイナス金利を導入したり、金利を調整しているのです。
日本国の借金は1000兆円を超えています。名目GDPの2倍以上です。
借金ばかりがクローズアップされますが、国債の保有先が問題です。日銀が480兆円以上保有しているのです。
金利上昇したら、債券価格は下がります。
円ばかりの資産ポートフォリオではなく、外貨をポートフォリオに入れることにより、資産防衛が図れます。
金融緩和が永遠に続くはずもないですし、続ける体力もありません。
今すぐに円の価値がなくなるわけではありません。しかし、気づいた時にはもう遅いです。
資産の一部を外貨、基軸通貨の米ドルにしておくことが資産防衛になるのではないでしょうか。
本当に日銀財務破綻リスクが高まれば、為替1円、2円の差など無いに等しくなります。
ドルコスト平均法で為替リスクを分散させながら、長期継続分散させてます。
筆者は米ドルをMMF、個別株、ETFに分散させ、今後もドル資産を増やしていきます。
一般的に情報提供であり、投資家への投資アドバイスなどではありません。
投資は自己判断で
Arbei
なぜタワーマンションだけが異常な値上がりをしたのか
都市部への人口集中
日本の人口は減少に転じています。しかし、都心部への人口集中は続いています。
こちらのグラフをご覧ください。
出典:総務省
三大都市圏に人口が集中し、特に東京圏に人口が集中していることが分かります。地方都市から人口が流出し、地方都市は空洞化が進んでいます。
地方都市の中核部にはタワーマンションを見かけますが、東京などとは比べものになりません。
都心部に人が集まっていますが、土地に限りがあります。土地に限りがあるので、上に伸ばしたのがタワーマンションです。
狭い土地に高い建物、これがタワーマンションです。
リーマンショック前後からの価格推移が下のグラフです。マンションが飛びぬけて価格が上昇していることが分かります。
出典:国土交通省
金利
低金利が限界与信額を押し上げています。
2020年5月現在の変動金利は優遇幅が最大だと0.4%台で借りれます。
10年前の変動金利の最優遇は0.875%でした。
5,000万円を35年、変動金利、元利均等返済の場合
金利0.4%の場合、月々の返済額は127,95円です。
金利0.875%の場合、月々の返済額は138,248円です。
金利0.4%で、月々の返済額138,248円までなら5,400万円借りることができます。
銀行の審査基準も緩くなっています。金利競争にネット銀行が加わってから、更に対顧金利は低くなりました。
与信審査でも、金利上昇した場合を想定した金利ストレスが下がっているように思います。
10年前の審査なら与信額3,000万円までだった先が4,000万円まで借りれるといった具合です。
団体信用生命保険のコストが0.2%/年程度ですので、銀行にとってほとんど利鞘(儲け)はありません。
でも、なぜ銀行は低金利の住宅ローンを止まないのか?特にネット銀行、信託銀行、一部の地方銀行は一生懸命です。
住宅ローンは安全な債権であり、利鞘が薄いにしろ、儲けがゼロではないからです。
BIS規制というものがあります。
銀行の財務上の健全性を確保することを目的として、1988年7月にBIS(Bank for International Settlements=国際決済銀行)の常設事務局であるバーゼル銀行監督委員会で合意された、銀行の自己資本比率規制のこと。「バーゼル規制」「バーゼル合意」ともいう。銀行として備えておくべき損失額をあらかじめ見積もり、それを上回る自己資本を持つことを要求している。
具体的には、銀行の自己資本を分子、リスクの大きさを分母とする比率(自己資本比率)が国際的に活動する銀行には8%以上であることを求めており(海外拠点を持たない銀行は4%)、日本では1993年3月末から適用された(バーゼル1)。
その後、銀行の抱えるリスクの大きさ(自己資本比率の分母)をより精緻なものとするべく、1998年からバーゼル1の抜本的な見直しが開始され、2004年6月に新BIS規制(バーゼル2)が公表された。なお新BIS規制では自己資本比率の分子と達成するべき水準についてはBIS規制と変更がない。日本では、2007年3月末から適用。
また、リーマン・ショックに端を発する世界的な金融危機を背景に、2010年9月には規制内容を再検討した「バーゼル3」が公表された。「バーゼル3」では、自己資本の「量」と「質」の見直しを柱とし、「量」では自己資本比率の水準(8%以上)の引き上げを、「質」では普通株や内部留保など、より資本性の高いものを多く保有するよう示唆。
具体的には、自己資本を「狭義の中核的自己資本(コアTier1)」、「中核的自己資本(Tier1)」、「総資本」の3段階に区分し、それぞれの比率を2013年から段階的に引き上げ、最終的に4.5%、6%、8%の最低基準を満たすと同時に、2016年以降は金融危機時における損失の吸収に使用できる資本保全バッファーの導入(最終的に3つの資本に対して2.5%上乗せ)を盛り込んだ(2019年に完全施行)。
出典:野村證券
安全な債権であるため、住宅ローンはリスク資産として見られる比率が35%です。
法人向け融資は100~150%です。住宅ローンの場合、貸出枠1憶円に対して、3億円以上融資できるのです。自己資本規制上で住宅ローンは有利なのです。
しかし、コロナ危機で状況は変わるかもしれません。返済が滞る債務者が住宅ローンでも増える可能性が高いからです。
金利が少なくとも3%になったとしても返済できるレベルまでしか借りるべきではありません。
パワーカップル
パワーカップルが増えました。パワーカップルとは様々な定義がありますが、夫婦ともに年収700万円以上、夫婦の合計年収1,000万円以上など、世帯年収が多い夫婦です。
女性の社会進出が進んでいます。こちらをご覧下さい。
女性が結婚・出産などを機に退職することが減っていることが分かります。諸外国に比べ、まだ遅れていますが、社会が女性を受け入れる体制を整えてきています。
女性の社会進出が進んでおり、勤続年数も長くなっていることから女性管理職も増えてきています。
一方で企業も女性が活躍していることを世間にアピールするために、女性管理役職者を無理矢理作ってる側面もあります。
管理職になれば、手当も増えますので家計の収入は増えます。
生産労働人口を増やすために女性の社会進出を促した結果、パワーカップルがパワーアップしました。
業者の寡占化
リーマンショック時には、多くの中小マンションデベロッパーは倒産しました。
モリモト、穴吹工務店、ジョイント・コーポレーションなど多くの中小デベロッパーが倒産しました。
リーマンショックによりマンションデベロッパーは大手数社の寡占状態になったのです。
供給量を抑え、価格が下がらないようにしています。株も不動産も生活用品も需給で価格は決まります。
出典:国土交通省
デベロッパーが減ったため、価格競争が弱まっています。需要はそれなりにありますので、価格を高く設定しても、売り捌ける状態が続いています。
投資目的
外国人投資家、富裕層が投資目的、相続対策目的でタワーマンションを買い漁りました。
世界的な金融緩和によるカネあまりが、不動産や証券市場に向かいました。
新築タワーマンションで売り切れだったはずなのに、お隣さんが住んでないのは投資目的(転売)だったり、相続対策目的で、居住が目的ではないからです。
賃貸目的で投資する投資家もいます。
金利が付かない時代ですので、家賃収入は魅力的です。
タワーマンションを賃貸で借りる人の属性は、収入が高い層です。東京などは土地を仕入れることが難しくなっていますので、賃貸用にタワーマンションへ投資資金が流れました。
タワーマンションの価格推移をみれば、投資家が動いている、動かないはずがない推移です。
リーマンショック後から、ほぼ右肩上がりに推移しています。
自動車などは、中古車が新車の価格を超えることは稀です。フェラーリやランボルギーニなど超高級車ではあり得る話ですが、大衆車は中古になれば、新車よりも安くなります。
不動産の場合も、建物自体は劣化が進み、償却されていきますが、土地の価格は景気であったり、近隣開発などに左右されます。
憧れ、幻想
都市部に住む=タワーマンションと漠然と抱いている人が多いのではないでしょうか。
本当の金持ちは、タワーマンションではなく、立地条件の良い地べたを買っています。
ドラマやヒルズ族の生活をネットやテレビで見て影響されている面もあります。
夜景がきれい、共有スペースが充実しているなどタワーマンションへの憧れ、幻想も購買意欲をかき立てています。
とある場所でタワーマンションの目の前にタワーマンションが建設されるという現場がありました。
既に建っていたタワーマンションAからは、目の前にタワーマンションBが建設されると、景観も何も台無しです。もちろん、資産価値も下がります。
実際にタワーマンションAは、タワーマンションBの建設決定以降、値崩れしました。反対運動はありましたが、法律を犯しているわけではないので、粛々と工事が進む光景は何とも言えないものでした。
仕入れ価格、資材、人件費の高騰
東京オリンピック開催、東日本大震災復興に向けたインフラ整備で人手不足がありました。
インフラ整備と公共事業に人を割かれ、資材価格も需要が旺盛なために値上がりました。
コストを価格に転嫁するのは経済の世界では当たり前です。つまり、建設コストが高くなったために価格が高くなったのです。
リーマンの時と違って値崩れしないという関係者もいます。
確かに供給量を調整していますので、需給バランスは崩れづらいかもしれません。
しかし、需要は減退するでしょう。コロナウィルスによる先が見えない経済、テレワークなどの活用によってオフィス(都心部)に通勤する必要が減るなどの影響は避けられないと思います。
一般的な情報提供であり、投資家・サイト閲覧者への投資アドバイス・税務アドバイスなどではありません。
Arbei
中小企業からの脱却
日本経済は中小企業が支えていると言われています。
出展元:中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chu_kigyocnt/181130kigyou2.pdf
日本企業の99.7%は中小企業です。約70%の雇用者が中小企業に勤めています。
アメリカやドイツも中小企業の割合は99%を超えています。
ドイツの中小企業は、ヨーロッパという地続きという立地もありますが、海外相手に取引をしている企業も多いです。
日本の中小企業で海外へ輸出をしている企業はドイツに比べ、格段に少ないです。
中小企業というと、町工場の職人が一子相伝の技術力を継承する、こんなイメージがあるのではないでしょうか。
確かに、中小企業が日本経済を支えていることは間違いないです。しかし、これは日本に限ったことではありません。全世界共通です。
日本は技術力の国という思い込みが強いために、余計に中小企業を美化させてしまうのかもしれません。
しかし、多くの中小企業の実態はカッコ良いものではありません。
ベンチャー企業も同じです。中小企業と聞くと古臭く聞こえ、ベンチャー企業と聞くと革新的なことをやっているような幻想をいだきます。
言葉って大切なんですね。
中小企業は創業者一族のためのものか
多くの中小企業を見てきました。
そのほとんどは、創業者一族のための企業で、公私混同でした。
なぜ、中小企業オーナーは高級車を乗るのか、会社の経費で落とし、減価償却のスピードが高級車は早いからです。
なぜ、多くの中小企業は赤字なのか、税金を払わなくて済むからです。
なぜ、中小企業オーナーは羽振りがよいのか、会社の資金を交際費に当ててるからです。役員手当を多くしているからです。
そして、一番問題と感じていたことは、従業員の給料を安く抑えていることです。
もちろん、従業員の給料をしっかり払い、福利厚生も充実している中小企業もたくさんあります。そういう中小企業の社長は、経営ビジョンが明確で、企業を私物化していませんでした。
サラリーマンの70%を締める所得が上がらなければ、物価も上がりませんし、景気回復を実感することはできません。
同じ職種、同じ業務をしている場合、多くの中小企業従業員の給料は大企業に比べて安いです。
一方で、株主である創業者一族の給料は、世間一般から見ても高いです。
確かに、事業リスクを負っていますので、リスクに見合ったリターンを受け取るべきです。
しかし、勤務実態がほとんどない親族を役員にし、その役員手当が従業員より遥かに多ければ、従業員はどう感じるでしょうか。
働きがいがある仕事をしたいと多くの人が思うでしょう。しかし、いくら働きがいがあっても収入が増えなければ、モチベーションは上がりません。
企業は誰のものか。株主のものです。しかし、株主価値を高めるためには、従業員の福利厚生も厚くしなくては、人材も集まりませんし、モチベーションも高まりません。
20年前も中小企業なら20年後も中小企業
企業は成長するものである、上場企業は株主からの厳しい目もありますので、成長しようとします。
ガバナンスが効いている企業であれば、成長戦略を練ります。
しかし、筆者が見てきた中小企業の多くは成長ではなく、現状維持を目標にしていました。
現状維持をするために、社長は地元ロータリーに入ったり、銀行のお願いセールスを受け入れたり、事業に目を向けるよりも違う方法で現状維持を目指していました。
20年前に中小企業で、今も中小企業なら、20年後も中小企業です。成長を捨てたハコでしかありません。そこで、働く多くの従業員の生活がかかっています。
コロナ危機で多くの中小企業、個人事業主が苦境に陥っています。大企業も同じく、苦しい状況に追い込まれています。
危機時に如実に現れる中小企業と大企業の差は何か、資本力です。
日本は大企業の系列中小企業が多過ぎます。創業者が多く、起業意欲が高いかと言うと違います。二代目、三代目の中小企業が多いです。
創業して一獲千金を狙う意欲的な社長よりも、現状維持に必死な二代目、三代目が多いのです。
世襲を否定するわけではありません。帝王学を若くして、身近で見ている二代目、三代目は企業家としてはアドバンテージがあります。
アフターコロナ
中小企業からの脱却を進めるべきです。大企業の系列からの脱却を図るべきです。
企業を成長させることができない社長が、企業を大きくし、従業員の福利厚生を向上させるためにはどうすればいいか。
一つの方法として、身売り•M&Aがあります。
後継者不在のために、身売りであったり、廃業を考えている中小企業も多いです。後ろ向きな理由によるM&Aが多いです。廃業は、従業員の雇用が失われるので、事業継続のためにM&Aは有効です。
経済危機である今こそ、前向きなM&Aをするチャンスではないかと思います。現金を貯め込んでいる企業は、買収のチャンスです。
大企業の言われるがままの中小企業からの脱却のチャンスです。
例えば、自動車部品会社を想像して下さい。
大手自動車会社Aの系列企業と、大手自動車会社Bの系列企業が合併すれば、部品の供給先はA,B二社になります。
仮にAと取引を切られたとしてもBが残ります。また、双方の技術力を結集させれば、新たな製品が生まれ、別業種との取引の道も見えてきます。
絵空事ですが、M&Aは1+1=2にするのではなく、1+1を2以上にするチャンスです。
固定費や重複業務の見直しで、経費も1+1=2にするのではなく、1+1を2以下にできるチャンスです。
増えた収益、減った経費を従業員の給与に回せるではありませんか。
stakeholderという言葉があるように、企業は株主のものであると同時に、従業員のためのものでもあります。
M&Aすることにより、ガバナンスが効くようになることが期待されます。透明性の高い、stakeholderを意識した経営を期待できるのではないでしょうか。
対等合併はありません。買うか喰われるかです。
M&Aは、その後が難しいです。社風、カルチャー、人事制度など異なる企業同士が一つになるわけなので、軋轢も生まれます。
しかし、規模のメリットを得るには、独自で成長するか、M&Aです。
中小企業のM&Aを進めれば、規模のメリットも活かせます。系列からの脱却も期待できます。
優秀な経営者が誕生するチャンスであり、無能な経営者を淘汰する機会です。
現状維持でいいと経営者が思ってしまえば、企業の成長は止まり、従業員は不幸になります。
アフターコロナでは、中小企業から脱却する中小企業が増えるかもしれません。
Arbei