お金のおはなし~お金の強化書~

お金と生活についての強化書

中小企業からの脱却

 

日本経済は中小企業が支えていると言われています。

 

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出展元:中小企業庁

 

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chu_kigyocnt/181130kigyou2.pdf

 

日本企業の99.7%は中小企業です。約70%の雇用者が中小企業に勤めています。

 

アメリカやドイツも中小企業の割合は99%を超えています。

 

ドイツの中小企業は、ヨーロッパという地続きという立地もありますが、海外相手に取引をしている企業も多いです。

日本の中小企業で海外へ輸出をしている企業はドイツに比べ、格段に少ないです。

 

中小企業というと、町工場の職人が一子相伝の技術力を継承する、こんなイメージがあるのではないでしょうか。

 

確かに、中小企業が日本経済を支えていることは間違いないです。しかし、これは日本に限ったことではありません。全世界共通です。

 

日本は技術力の国という思い込みが強いために、余計に中小企業を美化させてしまうのかもしれません。

 

しかし、多くの中小企業の実態はカッコ良いものではありません。

 

ベンチャー企業も同じです。中小企業と聞くと古臭く聞こえ、ベンチャー企業と聞くと革新的なことをやっているような幻想をいだきます。

言葉って大切なんですね。

 

中小企業は創業者一族のためのものか

多くの中小企業を見てきました。

そのほとんどは、創業者一族のための企業で、公私混同でした。

 

なぜ、中小企業オーナーは高級車を乗るのか、会社の経費で落とし、減価償却のスピードが高級車は早いからです。

 

なぜ、多くの中小企業は赤字なのか、税金を払わなくて済むからです。

 

なぜ、中小企業オーナーは羽振りがよいのか、会社の資金を交際費に当ててるからです。役員手当を多くしているからです。

 

そして、一番問題と感じていたことは、従業員の給料を安く抑えていることです。

 

もちろん、従業員の給料をしっかり払い、福利厚生も充実している中小企業もたくさんあります。そういう中小企業の社長は、経営ビジョンが明確で、企業を私物化していませんでした。

 

サラリーマンの70%を締める所得が上がらなければ、物価も上がりませんし、景気回復を実感することはできません。

 

同じ職種、同じ業務をしている場合、多くの中小企業従業員の給料は大企業に比べて安いです。

 

一方で、株主である創業者一族の給料は、世間一般から見ても高いです。

確かに、事業リスクを負っていますので、リスクに見合ったリターンを受け取るべきです。

しかし、勤務実態がほとんどない親族を役員にし、その役員手当が従業員より遥かに多ければ、従業員はどう感じるでしょうか。

 

働きがいがある仕事をしたいと多くの人が思うでしょう。しかし、いくら働きがいがあっても収入が増えなければ、モチベーションは上がりません。

 

 企業は誰のものか。株主のものです。しかし、株主価値を高めるためには、従業員の福利厚生も厚くしなくては、人材も集まりませんし、モチベーションも高まりません。

 

 

20年前も中小企業なら20年後も中小企業

企業は成長するものである、上場企業は株主からの厳しい目もありますので、成長しようとします。

 

ガバナンスが効いている企業であれば、成長戦略を練ります。

 

しかし、筆者が見てきた中小企業の多くは成長ではなく、現状維持を目標にしていました。

 

現状維持をするために、社長は地元ロータリーに入ったり、銀行のお願いセールスを受け入れたり、事業に目を向けるよりも違う方法で現状維持を目指していました。

 

20年前に中小企業で、今も中小企業なら、20年後も中小企業です。成長を捨てたハコでしかありません。そこで、働く多くの従業員の生活がかかっています。

 

コロナ危機で多くの中小企業、個人事業主が苦境に陥っています。大企業も同じく、苦しい状況に追い込まれています。

 

危機時に如実に現れる中小企業と大企業の差は何か、資本力です。

 

日本は大企業の系列中小企業が多過ぎます。創業者が多く、起業意欲が高いかと言うと違います。二代目、三代目の中小企業が多いです。

 

創業して一獲千金を狙う意欲的な社長よりも、現状維持に必死な二代目、三代目が多いのです。

 

世襲を否定するわけではありません。帝王学を若くして、身近で見ている二代目、三代目は企業家としてはアドバンテージがあります。

 

アフターコロナ

中小企業からの脱却を進めるべきです。大企業の系列からの脱却を図るべきです。

 

企業を成長させることができない社長が、企業を大きくし、従業員の福利厚生を向上させるためにはどうすればいいか。

一つの方法として、身売り•M&Aがあります。

 

後継者不在のために、身売りであったり、廃業を考えている中小企業も多いです。後ろ向きな理由によるM&Aが多いです。廃業は、従業員の雇用が失われるので、事業継続のためにM&Aは有効です。

 

経済危機である今こそ、前向きなM&Aをするチャンスではないかと思います。現金を貯め込んでいる企業は、買収のチャンスです。

大企業の言われるがままの中小企業からの脱却のチャンスです。

 

例えば、自動車部品会社を想像して下さい。

大手自動車会社Aの系列企業と、大手自動車会社Bの系列企業が合併すれば、部品の供給先はA,B二社になります。

仮にAと取引を切られたとしてもBが残ります。また、双方の技術力を結集させれば、新たな製品が生まれ、別業種との取引の道も見えてきます。

 

絵空事ですが、M&Aは1+1=2にするのではなく、1+1を2以上にするチャンスです。

固定費や重複業務の見直しで、経費も1+1=2にするのではなく、1+1を2以下にできるチャンスです。

増えた収益、減った経費を従業員の給与に回せるではありませんか。

 

stakeholderという言葉があるように、企業は株主のものであると同時に、従業員のためのものでもあります。

 

M&Aすることにより、ガバナンスが効くようになることが期待されます。透明性の高い、stakeholderを意識した経営を期待できるのではないでしょうか。

 

対等合併はありません。買うか喰われるかです。

 

M&Aは、その後が難しいです。社風、カルチャー、人事制度など異なる企業同士が一つになるわけなので、軋轢も生まれます。

 

しかし、規模のメリットを得るには、独自で成長するか、M&Aです。

 

中小企業のM&Aを進めれば、規模のメリットも活かせます。系列からの脱却も期待できます。

 

優秀な経営者が誕生するチャンスであり、無能な経営者を淘汰する機会です。

 

現状維持でいいと経営者が思ってしまえば、企業の成長は止まり、従業員は不幸になります。

 

アフターコロナでは、中小企業から脱却する中小企業が増えるかもしれません。

 

 

Arbei

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