住宅ローン〜借りた後の注意点〜
ここでは住宅ローンの注意点についてお伝えできればと思います。
自宅は人生で一番大きな買い物と言われています。ご覧ください。
住宅ローンの基礎知識①〜③もご覧いただければと思います。
ペアローン
配偶者又は婚約者とペアローンを組む方もけっこう多いです。
不動産の持ち分を按分する目的もありますが、収入合算することにより、融資金額を増やすことが目的です。
夫婦・カップルどちらか一人の収入では買えない物件も、二人の収入を合算すれば買うことができるようになります。
例えば、5000万円の融資を希望した場合、夫(収入400万円)だけでは審査が下りないが、妻(収入400万円)と収入を合算すれば審査が下りるなどです。
でも、ペアローンには注意しなくてはいけないことがあります。
離婚
自宅を購入する時は夫婦仲、カップル仲もいいです。しかし、中には自宅購入後に離婚となるケースもあります。
離婚したら、同じ屋根の下で住むことはなくなることが圧倒的に多いです。
自宅どうしますか?
①売却。
②どちらかがそのまま住むために、相手方の持ち分を買い取る。
①か②になるケースが想定されます。①のケースがほとんどです。
①売却
売却の場合、売却価格が住宅ローン残高と見合うかがポイントになります。
売却価格<住宅ローン残高 の場合、借金だけが残ります。住んでいない家のローンを払わなくてはいけません。
不動産価格は景気に左右されます。株式市場の半年~1年遅れくらいで不動産市場は動きます。
株式市場は、将来を反映していますので、興味がなくても世の中を知るために見ておくべきです。
不動産は売りたくても売れない場合もあります。
売却をしなくてはいけない時は足元を見られます。不動産は市場価格はありますが、最後は売主と買主との相対取引です。
②どちらかがそのまま住むために、相手方の持ち分を買い取る。
次にどちらがそのまま住むことになった場合についてです。
残る方は、家から出て行く方の債務を引き継がなくてはいけません。別れた相手のために、ローンを支払ってくれる人は多くありません。
持ち分だけを他人に売ることは出来ますが、収益を生まない自宅には買い手がつきません。
持ち分について不動産売買契約書を取り交わします。
ペアローンを組む目的を思い出してください。収入合算して融資金額を増やす、一人では買えない物件を買うです。
一人では返済できない、融資を受けることができないから、収入合算するのです。
相手方の債務を引き継いで返済って現実的ですか?
昇格、転職などで収入が上がっていればいいですが、収入が思っていた以上に上がってない場合は、返済は厳しいです。
現実的には売却になるケースが多いです。
専業主婦(夫)化
出産・親の介護などで離職することになった場合、どちらか一方の収入は減るもしくはなくなります。
出産・介護については、企業も寛容になり、一時的な休業を認めているところも多いです。しかし、補償は一時的です。
子ども・親と仕事とを天秤に掛けると仕事を諦める方も多いです。すると、見込んでいた収入がなくなります。返済はどうなりますか?想像してみてください。
管理費・修繕積立費
マンションの場合、管理費・修繕積立費が毎月のランニングコストになります。
この管理費・修繕積立費って入居したときからずっと同じではないのです。変動します、どちらかというと負担が重くなる方向へ。
同じマンション村に住んでいる住人が、平等に負担しようというのが管理費•修繕積立費です。
マンション村の住人が減ると、物件を維持、管理する費用は変わらないか増えるので、残された住人の負担は大きくなります。一世帯当たりの管理費、修繕積立費は上がります。
タワーマンションってどうやって大規模修繕するのでしょうか?まさか修繕が必要ない永久に劣化しない建物なわけないですよね。新しいうちはいいですが、時間が経過すると建物は痛みます。特に海沿いの物件は痛みが早いです。
管理費・修繕積立費も含めた毎月の返済金額と併せて考えるように。
戸建ての場合は、自身で修繕費を積み立てておくべきです。修繕費の借入も可能ですが、計画的に積み立てるべきです。自然災害が起きた場合、火災保険でカバーできない部分は実費になります。
建物は時間とともに劣化していきます。メンテナンスが必要です。メンテナンスのためにはお金がかかります。
管理費・修繕管理費も返済額と同様に考えてください。
金利上昇リスク
日本は低金利に慣れてしまってます。1996年以降、ほぼゼロに這いつくばっています。不動産業者・銀行はしばらく金利は上がらないと言います。確かにしばらくは上がらないと思います。
しかし、金利が上がった場合、返済できますか?
良い金利上昇は、経済が良くなりすぎるのを抑える、物価上昇を抑えることが目的です。一時的な景気過熱にならないように、中央銀行は金利を上げます。
悪い金利上昇は、2011年に起きた欧州債務危機のようなパターンです。ギリシャ・イタリア・スペイン・ポルトガルなどの南欧諸国の財政不安をきっかけに、南欧諸国の国債が売り叩かれ、ものすごい金利上昇がありました。
日本という国の信用が落ち、日本国債が売り叩かれるケースです。
日本の格付はA+(S&P)、AAAが最上位です。AAA・AA+・AA,・AA-・A+と上から5番目の格付です。スロベニア、リトアニアなどと同じ格付です。隣国の韓国はAA です。
日本国債の海外投資家保有比率が12.8%と、90%近くを国内で消化しています。
仮に海外投資家の持分比率が高くなると、いきなり売り叩かれることも想定されます。
日本は家計の貯蓄が多いから国の借金(国債)が多くても平気と言われています。
2019年末で家計の金融資産は約1900兆円です。しかし、近年は諸外国に比べ、家計の貯蓄の伸びは緩やかです。
金利が低いことと、家計に締める有価証券の割合が低いからです。お金がお金を稼ぐ術を知らない、やっていないからです。
流動性リスク
不動産は市場がありますが、最終的には相対取引です。買いたい人が現れない限り売れません。
買い手が見つからず、業者が買い取ることもありますが、その場合は足元を見られた価格になります。
売りたいときに売れない、買い手が見つからない、買い手が見つかっても、融資がおりなかったら、買ってもらえません。
返済可能か再検証必要
金利3%でも返済できるか検証してください。
現在の適用金利で返済可能か試算するのではなく、金利上昇しても返済できるかを検証した上で、住宅ローンは組むべきです。
例えば、融資金額5,000万円 期間35年の場合
金利0.475%だと 毎月の返済額は129,240円ですが、
金利3%だと、毎月の返済額は192,475円 です。
収入ー生活費ー返済額=余剰資金 余剰資金が生まれないほどのギリギリな住宅ローンは組んではいけません。
余剰資金は子供の教育費であったり、遊興費であったり、人生を楽しむために使うべきです。家のために人生をつまらないものにしたら、せっかくの家が憎らしいものになってしまいます。
将来の生活のために運用にも回すべきです。月々1万円でも、効果はあります。
”借金は身の肥やし”という言葉もありますが、Arbeiはそう思いません。借金は借金です。
背伸びをせずに、身の丈に合った物件を選ぶのが賢明です。平日働いている方は、一日のうち何時間を家で過ごしますか? 住めば都という言葉があります。
住めば都なのです。
一般的な情報提供のみを目的としたものであり、不動産投資、住宅ローンなどのアドバイスではありません。
Arbei