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銀行の不動産評価

 不動産

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全ての銀行、金融機関が共通ではないですが、銀行の不動産評価の考え方についてお伝えできればと思います。

 

返済不可能性定理なった場合、銀行は担保物件の抵当権を行使して、担保物件を売却し、残債の補填にします。

競売になると、実勢価格よりも通常は安く処分することになります。銀行の不動産評価は処分目線で見ますので、評価は渋くなります。

 

ちなみに返済が厳しくなったら、直ぐに銀行が抵当権を行使することはありません。

 

元金返済を据え置き、返済が可能になるまで条件変更をしたり、稼働率を上げるために業者紹介・コンサルなど手伝ってくれることもあります。

最終的にどんなに頑張ってもダメな時に抵当権は行使されます。

 

不動産を担保に融資を受ける場合、融資金額上限は銀行に不動産評価までです。

 

不動産評価が高ければ、融資金額も大きくすることが可能です。

 

バブル期は、銀行自らが不動産を過大に評価し、乱脈融資をしていました。

結果として、お客様を不幸にし、不良債権の山となり、変額保険などの訴訟トラブルを招いてしまいました。

 

銀行の不動産評価

売買価格(実勢価格)=不動産時価評価

 

不動産売買契約書の売買価格が不動産時価評価になる場合があります。

 

売買価格=実勢価格です。実勢価格が不動産時価評価になるのは、住宅ローンのみです。

 

自宅は、生活に必要なインフラという視点から、不動産時価評価を緩くしています。

 

また、住宅ローンの債務不履行になる確率は0.2〜0.4%程度なので、銀行としてもリスクが低い債権になります。

 

住宅ローンを検討する場合は、担保評価の心配をする必要はありません。

 

積算評価と収益還元法評価

積算評価

積算評価とは、その土地が接道する道路の評価額(路線価)と地積を掛け合わせたものです。

 

銀行の不動産評価は、基本的に積算評価です。

 

銀行が評価する際に使うのが、公示価格、固定資産税評価額、相続税路線価になります。

 

建蔽率容積率・地型によっても、評価は大きく変わります。

以下の土地は、それぞれ同じ地積です。では、どちらの方が価値は高いと思いますか。

 

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当然、Ⓑ旗竿地よりもⒶ整地の方が同じ地積、路線価でも価値は高いです。整地の方が、使い勝手が良いからです。

 

参考までに旗竿地になっている土地の多くは、相続税納税のために、土地を分筆し、整地を売却したからです。

 

なぜ、整地を残して、旗竿地を売却しなかったのか。それは、旗竿地は売れにくく、納税期限までに現金化できるか分からなかったためです。

 

不動産業者に「納税期限もありますから、まずは確実に土地を現金化しませんか。」などと唆されることもあります。整地を仕入れた方が、不動産業者にとっても、加工しやすいです。

結果として、価値の低い土地が残ってしまったというわけです。

 

相続税の物納には様々な要件がありますが、物納を専門に扱うコンサルもいますので、機会があれば専門家に相談することをお勧めします。

 

相続税路線価評価が、一番ストレスをかけた評価になりますので、銀行に相談する前に相続税路線価で評価してみるといいと思います。実勢価格と銀行評価の差が分かります。

 

また、相続税路線価は実勢価格の70%、固定資産税評価額は実勢価格の80%と言われていますので、購入物件が適正価格かどうかを図ることができます。

 

不動産業者いわく、実勢価格は適正で相続税路線価、固定資産税評価額とは大きな差があると言いますが、高い買い物をしないための参考にはなると思います。

 

マンション1室など区分所有の物件は、東京カンテイなどの不動産評価を活用します。

 

収益還元法評価

収益還元法とは、その物件がいくらの収益を生む物件なのかを地域ごとに利回りを定めて評価する方法です。

 

その物件の収益÷地域ごとに定められた利回り

 

例えば、物件からの収益が3,000万円/年、その地域の利回りを10%とすると、収益還元法評価では30,000万円の評価になります。

 

収益還元法評価は、東京23区や名古屋、大阪など都心部の物件が対象になります。

 

猫の額ほどの土地に高い建物の物件は積算評価では評価が出ませんので、収益還元法評価を用います。

 

収益還元法評価は、個人投資家にはよっぽどの属性でなければ、利用されません。

 

 銀行の不動産評価≧実勢価格はほとんどない

銀行の不動産評価よりも、実勢価格が安い物件はほとんど見つからないと思います。

 

その場合、自己資金を増やすか、他の物件を共同担保とすることを提案されます。

 

自宅を共同担保に差し出す個人投資家も多いですが、止めてください。それだけの価値しかない物件と諦めるべきです。

 

積算評価で評価が出る物件は土地が広い案件です。郊外の物件です。

しかし、いくら不動産評価が出ても、収益を生み出さなくては不動産投資の意味がありません。

 

不動産業者が紹介する物件で、「これは素晴らしい」と思った物件は何百、何千と見てきた中で数件です。業者から紹介され、営業トークに乗って、相談に持ってくる案件は、いまいちなものが多かったです。

 

一方、掘り出し物件の融資をしたこともあります。立地、収支、担保価値など文句のつけようがない物件です。

彼らを見ると、物件探しが真剣です。不動産業者からの情報収集もしていますが、物件を自ら探しています。

 

 建物評価

建物には法定耐用年数というものがあります。構造によって異なります。

 

建物評価=標準建築費×(法定耐用年数-築年数)/法定耐用年数

 

構造・用途 細目 耐用年数
木造・合成樹脂造のもの 事務所用のもの 24
店舗用・住宅用のもの 22
飲食店用のもの 20
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの 17
公衆浴場用のもの 12
工場用・倉庫用のもの(一般用) 15
木骨モルタル造のもの 事務所用のもの 22
店舗用・住宅用のもの 20
飲食店用のもの 19
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの 15
公衆浴場用のもの 11
工場用・倉庫用のもの(一般用) 14
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの 事務所用のもの 50
住宅用のもの 47
飲食店用のもの - 
 延べ面積のうちに占める木造内装部分の - 
 面積が30%を超えるもの 34
 その他のもの 41
旅館用・ホテル用のもの - 
 延べ面積のうちに占める木造内装部分の - 
 面積が30%を超えるもの 31
 その他のもの 39
店舗用・病院用のもの 39
車庫用のもの 38
公衆浴場用のもの 31
工場用・倉庫用のもの(一般用) 38
れんが造・石造・ブロック造のもの 事務所用のもの 41
店舗用・住宅用・飲食店用のもの 38
旅館用・ホテル用・病院用のもの 36
車庫用のもの 34
公衆浴場用のもの 30
工場用・倉庫用のもの(一般用) 34
金属造のもの 事務所用のもの - 
 骨格材の肉厚が、(以下同じ。) - 
  4㎜を超えるもの 38
  3㎜を超え、4㎜以下のもの 30
  3㎜以下のもの 22
店舗用・住宅用のもの - 
  4㎜を超えるもの 34
  3㎜を超え、4㎜以下のもの 27
  3㎜以下のもの 19
飲食店用・車庫用のもの - 
  4㎜を超えるもの 31
  3㎜を超え、4㎜以下のもの 25
  3㎜以下のもの 19
旅館用・ホテル用・病院用のもの - 
  4㎜を超えるもの 29
  3㎜を超え、4㎜以下のもの 24
  3㎜以下のもの 17
公衆浴場用のもの - 
  4㎜を超えるもの 27
  3㎜を超え、4㎜以下のもの 19
  3㎜以下のもの 15
工場用・倉庫用のもの(一般用) - 
  4㎜を超えるもの 31
  3㎜を超え、4㎜以下のもの 24
  3㎜以下のもの 17

出典:国税庁HP 

 

建物は時間の経過とともに価値が下がるという考えです。

標準建築費は各金融機関によって異なります。近年は人手不足・資材費高騰もあり、建物自体の価格が高くなっています。

 

 一方で、リフォーム・リノベーション技術が向上していますので、金融機関によってはリフォーム・リノベーション済の物件については柔軟に評価をする銀行も出てきています。

 

 

一般的な情報提供であり、サイト閲覧者・投資家への投資アドバイス・税務アドバイス等ではありません。

 

Arbei

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