アメリカの焦り
コロナウィルスの最大の被害国
アメリカは2020年4月20日現在、コロナウィルスの感染者758,700人以上、死亡者40,600人以上、コロナウィルスの世界最大の被害国です。
まだ、コロナウィルスの感染拡大が収まっていない中、経済活動のために段階的な自粛、規制緩和を始めようとしています。
各地で経済活動再開・ロックダウン解除を訴えたデモも起きているようです。
もちろん、いつまでも経済活動を止めておくわけにはいきません。コロナウィルスではなく、収入が無くなることによる被害も甚大です。
しかし、トランプ政権には焦りがあり、時期尚早な決断をしようとしているように感じます。
外出自粛に対するデモを煽ったり、民主党が知事を務める州に口撃を仕掛けたり、なんとかコロナウィルス対策で後手に回ったという世論の印象を払拭しようとしています。
ミネソタ州・ミシガン州・ヴァージニア州の規制は厳しすぎるとトランプ大統領は述べましたが、いずれの3州が民主党の州知事であるというのも、滑稽に感じてしまいました。
焦りには2つあり、中国との覇権争いと大統領選です。
中国の経済活動再開
コロナウィルス発生国である中国が世界に先駆けて、経済活動を再開し、経済が復活し始めています。
覇権を争うアメリカとしては、これ以上中国の後塵を拝することはできないと焦りを感じているのではないでしょうか。
両国は世界のGDP1,2位の国です。アメリカ1強の時代が長く続いてきましたが、2強体制になろうとしています。
強い影響力を維持するためには、経済力、軍事力です。
コロナ危機後の経済主権を中国に握られたくないのです。
中国がコロナ危機後の経済回復で一歩先に行っていることが面白くないのだと思います。
中国は、一党独裁国家ですので、国民をコントロールしやすいので、コロナウィルス抑え込みが早かったのでしょう。また、コロナウィルス確認後、武漢市封鎖など行動が早かったです。
コロナウィルスの危険性をもっと早く、中国・WHOが世界に発信していたら、今は違ったかもしれません。
プロパガンダ
トランプ政権の対コロナウィルス政策は後手を踏んでいる印象が否めません。
コロナウィルスの被害が最も大きいニューヨーク州のクオモ知事は公然とトランプ政権を批判したり、自身の考えを述べています。トランプ大統領が共和党、クオモ知事が民主党というのも関係していると思います。
また、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所所長のファウチ氏も、トランプ政権に忖度することなく、感染症の恐ろしさ、対応策を自分の言葉で国民に伝えています。
国民の目を政権批判ではなく、外に向けるために中国・WHO批判を強めています。
中国批判と併せて、WHOへの批判も強め、WHOへの資金拠出を一時停止することも発表しました。
WHOの対応、中国への忖度など、アメリカ側の気持ちも分かりますが、世界が危機に直面する最中、あまりにも短絡的で、余計に混乱させる決定です。
日本の隣国である韓国も同じようなことをいつの時代もやっています。内政が不安定になると、反日感情を高め、政権批判ではなく、日本批判に世論を誘導しようとします。
トランプ政権も、今回のコロナウィルス蔓延による甚大な被害の原因を政権ではなく、中国、WHOに世論の目が向くように必死にプロパガンダをしています。
外に敵を作れば、世論を味方に付けやすいです。
11月の大統領選
民主党がバイデン氏一本に絞ったのがトランプ政権の思惑よりも早かったことも、トランプ大統領を焦らせる要因にもなっていると思われます。
トランプ大統領としては、民主党がまとまらない、もしくは社会主義者のサンダース氏が民主党候補になることを望んでいたでしょう。
しかし、バイデン氏一本に早期に絞られ、未だに国民に人気のあるオバマ前大統領もバイデン氏の支持を表明しました。
現職の大統領が負けたのは、直近だと1994年のブッシュ父なので、2期目の大統領選挙は現職が圧倒的に有利です。
圧倒的に有利な戦いのはずですが、反トランプは大統領就任時から一定数います。
親トランプに反故されないよう、保護主義的な言動を一層強めるでしょう。
危機は国民の気持ちを団結させ、危機に立ち向かう政権を後押しするのが過去の危機ではありました。
代表的な危機が2001年9月の同時多発テロです。当時はブッシュ大統領でしたが、”テロとの戦い”をプロパガンダし、支持率が急上昇しました。
ギリアドサイエンジス(GILD)
アメリカのバイオ製薬会社のギリアドのレムデシビルという薬をトランプ大統領はゴリ押ししています。
富士フイルム富山化学のアビガンもアメリカで治験を始めましたが、トランプ大統領としてはアメリカ企業のギリアドが世界を救う薬にしたいのでしょう。
”アメリカの企業が、コロナウィルスから世界を救った"、"全世界の諸君、ギリアドのレムデシビルを射てばいいのです"という未来を描いているのではないでしょうか。
アメリカが世界を救った、アメリカの企業に恩恵をもたらす、トランプ最高を描いているのかもしれません。
富士フイルム富山化学のアビガンやアメリカ以外の企業の抗コロナウィルス薬は、トランプ政権にとっては面白くない薬かもしれません。
しかし、軽症患者を中心にアビガン投薬による効果が出ている報道も複数あり、また各国への無償提供も進んでいるので効果があるのだと思われます。
効かない薬を欲しがることはないはずですし、効かない薬を無償でも渡すはずもないので。
どの薬についても、はっきりとした効果はまだ分かりません。ワクチンが出来るまでは、このウィルスとの戦いは続くのかもしれません。
一般的な情報提供のみを目的としたものであり、税務・投資アドバイスなどではありません。
Arbei